中野吉之伴フッスバルラボ

【まとめ】2022年を各月人気コラムと共に振り返る part 2(7月~12月)

2022年を人気コラムと共に個人的に印象深かった思い出と共に振り返ってきます。

part 2は7月から12月までとなります。

▼ 2022年7月

【育成論】U17時代にほとんど試合に出られなかったレロイ・サネが大成できた理由はどこにある?

育成に方程式はないし、選手を作り上げるノウハウだってないという国際コーチ会議の講義内容をまとめたコラム。

いろんな研究がされて、分析がされて。様々な理論があって、アプローチがあって。

でも、これさえやればプロになれるなんてやり方はやっぱりないわけです。選手の前に、子どもたちはみんな一人一人の人間であり、人の成長曲線も、スピードも、プロセスも本当に千差万別。

育成指導者は伴奏者。僕が敬愛するSCフライブルク監督のクリスティアン・シュトライヒはそういってました。うまくいかないとき、つらい時、苦しい時に、そばに信頼できる存在がいるかどうか。

一緒に歩んでくれると実感しながら取り組めるかどうか。

それは成長過程において極めて重要なことなのだなと思うばかりです。

ドルトムントでの国際コーチ会議でオランダで活躍されている倉本和昌さんや日本U20代表監督の影山雅永さんや各国指導者の肩と交流できたのもよかったし、45歳の誕生日を無事に迎えられたのも素敵だったし。

でもこの月のハイライトとなると、元日本代表FW岡崎慎司選手にお声がけいただき、元日本代表キャプテンの長谷部誠選手、バサラマインツ監督の山下僑さんと一緒に食事をしながらいろんな話ができたことでした。

一つ一つの縁を大事にして、自分にできることを強めて、深めて、拡げていきたいです。

▼ 2022年8月

【育成論】「夏休みは休み」と言い続けてはや何十年。《仕組みや考え方を変えられない》なんて言い訳はもうやめよう

夏休みの暮らし方についてを改めてまとめたコラム。

3年弱ぶりの日本。夏の猛暑のなか、全国を回りながら、クリニックをしたり、講習会をしたり。《夏休みは休み》というのを口にし続けて早20年。やってやれないことはないけど、やっぱり日本の夏は相当にきついというのを再確認しました。

活動を完全にゼロにしろ!と言っているわけではなく、心と体の健康に細心の注意を払いながら、十分な休養の時間を取りながら、遊んだり、のんびりする時間を作りながら、家族の時間を満喫できるようにしながら、「夏休みは最高だ!」って思える時間にしたいものですよね。

家族での一時帰国は実に4年弱ぶり。

それぞれの実家でのんびりして、海に行って、旅行をして、バーベキューをして、サッカーをして、温泉に行って。久しぶりの日本の夏を「これでもか!」と心の底から味わってきました。

行く先々でみなさんによくしていただき、各地の名物もいろいろ楽しむことができました。飛騨高山も素晴らしかったし、茅ケ崎の海も素敵だったし、箱根の緑も心が癒されたし。台風接近の中、子どもたちとレッズレディースの練習場にいって猶本光選手に再会できたし、安藤梢選手にも初めて直接話をすることができたし。

あえて一つを選ぶとしたら、長岡の花火大会ですね。コロナ規制がドイツよりも厳しい日本で、大勢の人が集まり、みんなが花火を見上げて、それぞれがそれぞれの思いを募らせて。あの空気感は本当に感動的で、自然と涙が出てきました。

▼ 2022年9月

【指導論】数多くのプロ監督がリスペクトするのがクリスティアン・シュトライヒ。正しい解釈で選手に寄り添う名指揮官から学ぶことは限りなく多い

堂安律選手が移籍してきたことで日本でも注目を集めているSCフライブルク。同クラブで11年間監督を務めているクリスティアン・シュトライヒの言葉は、一聴どころではなく、いつでもどこでも何度でも耳を傾ける価値のあるものがあります。

普段ブンデスリーガへの取材となると、基本的にまずは日本人選手の動向を細かくチェックし、試合後に話を伺うのが大切ですが、僕は監督記者会見にも可能な限り足を運びますし、記者会見後に地元記者との囲い取材に応じてくれる場合は、そこでのやり取りにも関わるようにしています。

サッカーのとらえ方、考え方、人と人との関わり合い方。

様々な学びがそこにはあります。

9月は妻の誕生日があり、ブンデスリーガではミックスゾーンでの取材が再開されたり、デュッセルドルフでの日本代表とエクアドル代表戦を観戦に行ったり、シントトロイデンの岡崎選手と食事をしてきたり。

次男が戻ってきたSVホッホドルフのU13で1泊2日の合宿ができたのはとても素敵でした。子どもたちはグラウンド上ではみせない様々な顔を見せてくれるし、僕の知らない話をたくさんしてくれる。そんな時間を共有できるというのは最高ですよね。

いっぱい大笑いできました。

▼ 2022年10月

【きちルポ】PVのためならどんなタイトルをつけても許されるのか。ミックスゾーンでの選手と記者のやり取りで考えさせらえたメディアのあり方

フライブルクのミックスゾーンで、フライブルク選手がビルト紙の記者に見出しのつけ方、表現の仕方について、勇敢に、でも冷静に批判していたことから振り返ったメディアのあり方についてをまとめたコラム。

それぞれにそれぞれの思惑があるというのがあっても、超えてはいけない線というのがある。それは僕ら書き手も、タイトルをつける編集サイドも、そして取材を受ける選手や監督サイドにもある。

【表現の自由】【言論の自由】というのは何をやってもいい訳ではなく、そうした互いへのリスペクトと相手の意見にも耳を傾ける姿勢がなければ成立しないのではないでしょうか。

フライブルクでは3年ぶりに日本人こども会による運動会が開催できました。市内の公園に集まって、自分達で組んだプログラムで競技をして、紅白分かれての思いっきり汗をかいてきました。

小さな子どもたちが楽しそうに駆けまわったり、玉入れをしている姿は本当にほほえましかったし、もう14-15歳のお兄さん・お姉さんたちがそんな子供たち相手に遊んでいる姿とか、彼らだけで楽しく話している様子がたくさん見れてほっこりしました。

フライブルク生まれ・育ちの日本人の子どもたち。彼らにとって日本とはどういう国なのか。それこそ1人ずつ受け止め方も違うと思います。それでも、こうやって集まって、楽しい時間を共有できる仲間がいることのすばらしさを、みんな感じてくれていることでしょう。

▼ 2022年11月

【フッスバルコラム】なぜドイツは終盤失速してしまったのだろう?元ケルン育成統括部長クラウス・パプストに話を聞いてみた

カタールW杯グループリーグで日本に敗れたドイツ代表について、元ケルン育成統括部長のクラウス・パプストの話をまとめたコラム。

70分ごろまで圧倒的にゲームをコントロールしていたと思われたドイツがまさかの連続失点で日本に敗れたあの試合。試合そのものへの振り返りに加え、そこから育成年代においてどんなところを学べるのかを考察してみました。

当たり前のことを当たり前にする難しさ。

それを理解したうえで、どのように取り組み、どのように接するのか。

そこへの考察なくして、育成は語れないなと思いました。

サッカーでもそうですが、人生だって、いつでも順調なんてことはないと思います。どれだけ準備をして、対処をしていても、どこかでずれが出たり、ストレスがたまったりしてしまうもの。

スケジュール的に簡単ではなかったものの、秋休みを利用して1泊2日で家族と小旅行に行ったことで、かなり解消されました。自然の中を歩き、滝を前にぼーっとし、沼地を散策し、温泉プールで体を動かし、おいしいものに舌鼓を打つ。

一緒に楽しんでくれた家族に感謝です。

▼ 2022年12月

【育成論】ドイツよ。ないもの探しではなく、いまこそサッカーの、育成の原点を見つめ直す時だ

グループリーグを終え、カタールを去ることになったドイツへの僕からの思いをまとめたコラム。

うまくいかないと粗探しが始まるのは世界どこでも一緒。ミスがあったのは間違いないです。大きなミスがたくさん重なったことも確かです。でも、できないことだけ、できなかったことだけを見ていては進めません。

細かく取り組めば取り組むほどうまくいくわけではないはずです。

僕は2016年に【サッカー年代別トレーニングの教科書】という本を書きましたが、その中では2000年初頭からのドイツの育成改革についてまとめてあります。今改めて見返してみて、ドイツはあの時大切に取り組んでいた《サッカーの原点》を今一度見つめ直してほしいです。

そしてそれは、日本のグラスルーツサッカー環境においても、同じことが言えるのではないかと思っています。

メッシとアルゼンチンが悲願を達成したワールドカップはとてもドラマティックでロマンティックでした。でも、だからカタールで開催されたことすべてをうやむやにはしたくないです。W杯ってなんだろう?サッカーってなんだろう?スポーツってなんだろう?

そんな本質的なことへの問いを忘れずに、向き合っていきたいものです。

プライベートでは12月もいろいろありました。3年ぶりに開催されたクリスマスマーケットに家族で行けたし、クリスマスにおいしいディナーを作って食べたし、友達を呼んでワイワイ楽しめたし。

個人的には日本人友人夫婦にオーケストラにご招待していただけたのが本当に良かったです。《雪の女王》の朗読とともに、素敵な音楽がオケで奏でられるという壮大な舞台でした。音と向き合う友人夫婦の奏でる姿はとても美しかったです。ホール全体に響くスタンディングオベーション。

僕は、どんな人間でいたいんだろう?

僕は、子どもたちにどんな人間になってほしいのだろう?

そんなことを少し考えながら、でも気が付いたら音楽に、朗読に夢中になっていて。自然と涙も出てきていたり。

がんばろう!

いっぱいの勇気と元気をもらえたと思っています。

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