【育成論】ドイツよ。ないもの探しではなく、いまこそサッカーの、育成の原点を見つめ直す時だ
▼ 日本代表、決勝T進出おめでとう!
日本代表が見事な大番狂わせを果たした。
スペイン、ドイツ、コスタリカという厳しいグループで首位突破というのに世界中のサッカーファンが驚いている。W杯優勝歴というのは過去大会の戦績でしかないとはいえ、まぎれもない世界のサッカー大国からそれぞれ勝利を奪ったというのはセンセーション以上の出来事だ。
今できる最大限のことを出し切れたら、スペインやドイツが相手でも瞬間的にはそれを凌駕するサッカーを見せることができたのは、これからの日本サッカーにとってかけがえのない収穫となる。界王拳を身につけたばかりのころの孫悟空みたいなイメージがある。
それに自陣で守備固めをすれば最小失点で切り抜けられる体験ができたのも大きいし、試合展開に応じてシステム・戦術変更を瞬時に行えるという選手がそろってきているというのもポジティブな要素。
少ない得点機を生かしてゴールを決めきることができたというのは素晴らしいではないか。決定機とは何か、というのを考えるうえでも大きな研究材料となるはずだ。
もちろん今回の結果をもって、日本サッカーがドイツサッカーを越えたというのは違うし、日本サッカー界のすべてがうまくいっているというわけでもない。それにドイツ戦も、スペイン戦も前半2失点目を喫していたら、そのまま大量失点となった危険性もあったことは忘れてはいけないだろう。
育成の成果が今回の快挙につながったのは間違いないけど、育成の環境や指導者の質などまだまだ時間をかけて改善していくべきことはたくさんある。暴力、暴言は撲滅されなければならないし、子どもたちみんなが年間を通したリーグ戦でサッカーの試合が経験できる環境作りだって、年代別の最適な試合形式についてもまだまだ未整地のところだ。
日本サッカー界はまだまだ伸びしろだらけ。この大成果をプラスの力に代えて、様々な課題を解決する原動力となっていたら喜ばしい限りではないか。
▼ ドイツの育成現場に巣食う問題・課題
課題がたくさんといったらドイツも人のことは言えない。グラウンドやクラブハウスなどのサッカー環境やリーグシステム、各クラブをつなぎ合わせるネットワークや指導者育成の骨組み作り、オンラインを生かした情報共有などなど、さすがサッカー大国といえるだけのものはある。そしてこれらは本当に素晴らしい。学ぶべきことは本当にたくさんある。
ただ、一方で問題点が増えてきているのが気がかりだ。
例えばトレセンのあり方が危うい。
トレセンは本来の目的として、「資質ある選手がよりよいサポートトレーニングを受け、クラブでの活動のほかに自身の技術、個人戦術に取り組む機会を作り、ブンデスリーガの育成アカデミーへ進める可能性を高める」というのがある。
トレセンに選ばれるのが目的とならないようにというのがあったはず。選手はクラブの練習のほかに学校のことだってあるから、スケジュールがきつくならないように配慮することだって当たり前だった。
だけど、ここ数年トレセンが変にガチガチになっている印象を受ける。
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