【育成論】U17時代にほとんど試合に出られなかったレロイ・サネが大成できた理由はどこにある?
▼ 選手の成長曲線は千差万別
世界中のあらゆる地域と、あらゆる国と、あらゆるクラブと、あらゆるチームで、今日も子供たちはサッカーに熱中している。2つのゴールと2つのチームと1つのボール。その中でいろんなことにチャレンジして、いろんなことに怒って、いろんなことに喜んで、いろんなことに幸せを感じて仲間たちとサッカーをしていることだろう。
そんな中にはポテンシャルを持っているとされる子どもたちがいる。たくさんいる。
現在のプロサッカー界では無数のクラブがそうした将来の卵を可能な限り早い段階で見つけて、可能な限り早く獲得しようとする。奪い合いが起こる。血眼になって探そうとする。
「トップタレントはどこにいるんだ?」って。
でもそれでいいのだろうか?
警鐘を鳴らしていたのはフォルカー・フィンケだ。国際コーチ会議で長年アシスタントコーチとして連れ添っているアヒム・ザルシュテットとともに壇上に立ったフィンケはまず、「選手それぞれに異なる成長スピードと成長曲線があることを知らなければならない」と力強い声で語っていた。
フィンケ 例として挙げればセバスティアン・ダイスラーという選手がいた。残念ながらうつ病が原因で若くしてプロ選手を引退したが、2000年代におけるドイツ最大のタレントといわれた選手だった。
そんな彼もすべてが順調に育成年代を駆け上がったきたわけではない。非常にテクニカルでインテリジェンスの高いプレーヤーだったのだが、U15のころまだ体は大きくなく、ダイナミックさの欠如を指摘されることが少なくなかった。だがそれからわずか数年で体のサイズはどんどん大きくなり、他の選手とそん色がないほどに。
ブンデスリーガの育成アカデミーではいい選手を次から次へと獲得して自分たちのイメージ通りの成長をする選手を探す傾向がどうしてもあるが、もっと一人一人の選手に時間を与えられなければならない。フライブルクのようにじっくりと育成に取り組んでいるクラブが今トップチームでも好成績をあげているのは偶然ではないのだ。
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