宇都宮徹壱ウェブマガジン

なぜ南葛SCはYouTubeに力を入れているのか? 風間八宏監督「密着ドキュメント」が目指すもの

 まずはこちらのショート動画をご覧いただきたい。「日本のスポーツチーム公式YouTubeチャンネル登録者獲得数」の2月の推移をモーショングラフで表したものである。

 これを見ると、131日時点でランキング圏外だった南葛SCが、23日から唐突に登場。210日になると、阪神タイガース、広島東洋カープ、埼玉西武ライオンズを抜き去り、中日ドラゴンズに次ぐ2位でフィニッシュしている。ちなみにベスト10のうち、プロ野球が8球団。Bリーグの千葉ジェッツが9位。Jクラブでの最高位は、セレッソ大阪の13位だった(3月に入ってから南葛を抜いて逆転)。

 何かとサプライズを起こすのが、南葛SCというクラブ。東京都リーグ1部時代にJリーグ百年構想クラブとなり、関東リーグ11年目には稲本潤一や今野泰幸といったワールドカップ戦士が加入、そして昨年11月には風間八宏監督就任を発表している。いずれも驚くべきトピックスであったが、今年の入ってからのYouTubeチャンネル登録者数の急上昇も、これはこれで地味ながらインパクトがあった。ここでひとつ、個人的なエピソードを披露しよう。

 2月下旬、通い慣れた吉祥寺の美容院で、髪を切ってもらっていた時のことだ。サッカー好きの担当のサイトウさんと床屋談義をしていたら、ふと「宇都宮さんは南葛SCとか取材しないんですか?」と聞かれてドキッとした。サイトウさんは、プレミアリーグと横浜F・マリノスと日本代表のファンで、ハーフウェイカテゴリーは関心外だったはず。なぜその名前を? 彼の答えは「YouTubeを見ていると『おすすめ』で出てくるんですよね」だった。

 ちなみに、南葛公式が一気に登録者数を獲得したのが、29日にアップされたこちらの動画。「風間八宏監督とともに 新生・南葛SCが始動!|南葛SC密着ドキュメント #1」というタイトルで、本稿執筆時で215000回近く再生されている。この動画がアップされるまで、公式チャンネルの登録者数は8000人ほど。それが一気に2万人にまで急上昇したのである。南葛のYouTube戦略は、見事に成功したといって間違いないだろう。

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