2024.04.11

川崎フロンターレを離れて「J5クラブ」に来た理由　天野春果（南葛SCプロモーション部部長）＜1/3＞

2024年04月11日 12時00分　
カテゴリ：インタビュー・対談
タグ : J1 • J2 • J3 • JFL • Jリーグ • photo • pickup • サポーター • スポーツビジネス • 中村憲剛 • 南葛SC • 地域リーグ • 天野春果 • 岩本義弘 • 川崎フロンターレ • 風間八宏

　今週の宇都宮徹壱WMは「南葛SCウィーク」。昨日のコラム、明日の「徹壱の部屋」、そして今日から3回にわたり、プロモーション部部長の天野春果さんのインタビューをお届けする。

　天野さんといえば、川崎フロンターレで「エンタメ路線」を確立させたことで知られている。1971年生まれの53歳。アメリカのワシントン州立大学スポーツマネジメント学部を卒業後、旧JFLからJリーグ入りを目指していた川崎に1997年入社する。以来、実に四半世紀。途中、東京2020大会組織委員会などへの出向もあったが、ずっと「川崎の顔」であり続けた。

　そんな天野さんは昨年、川崎を退職してTwo Wheel Sportsを設立、代表取締役に就任する。川崎を離れたことも驚きだったが、それ以上に驚かされたのが南葛SCに新設された、プロモーション部の部長に招かれたことだ。今季から南葛を率いるのは、強い川崎の礎を築いた風間八宏監督。この両者が、南葛で再び共闘することに密やかな興奮を覚えたのは、私だけではないだろう。

　一方で、天野さんについては、かねてより気になっていたことがあった。なぜ、川崎を離れる決断を下したのか？　南葛を選んだ理由は何か？　東京オリパラでの仕事についても、この機会に振り返ってもらいたい。そんな思いから、今回のインタビューが実現した。

　今週末には、南葛のホーム開幕戦がAGFフィールドで開催される（参照）。風間メソッドによるチーム強化に注目が集まる中、天野さんがジョインすることで、クラブや地域にどんな化学変化が見られるのかも気になるところ。南葛サポーターのみならず、川崎サポーターにもぜひ読んでいただきたい内容となっている。（取材日：2024年4月2日＠東京）

■四半世紀にわたって勤めてきた川崎から離れた理由

──今日はよろしくお願いします。南葛SCでの自己紹介の際、選手やスタッフを前に歌ったそうですね。しかも『キャプテン翼』の主題歌の替え歌だったとか（笑）。

天野　そうです。「アイツの噂でチャンバも走る～」のところを「八宏の姿に天野も走る～」という感じで。サッカークラブだけじゃなく、ビジネスの世界でもそうだと思いますけど、新しい組織にシュッと入る時って、一発で自分のキャラクターを覚えてもらうことが大事じゃないですか。南葛といえば『キャプテン翼』だから、だったら主題歌の替え歌が一番いいだろうと。

──とはいえ、この業界で「天野春果」といえば、誰もが知っているのでは？

天野　確かに南葛には、フロンターレ時代から知っている人はたくさんいますよ。八宏さん、稲本（潤一）、（楠神）順平、それとコーチの川崎（英正）さん。彼らから聞いている部分もあるかもしれない。それでも自分のキャラクターというものを、まずは自分自身でプレゼンすることが大事だと思っています。そういうのって、たとえば「この人を口説かないとイベントが実現しない」っていう時でも有効なんですよね。ちょっと真面目な返答になってしまうけど（笑）。

──川崎といえば、昨年の暮れにフロンターレ退職記念として、かわさきFM主催のトークイベント「アマトーーク FINAL」を開催して、ものすごく豪華なメンバーがゲスト出演されたそうですね。Wikipediaによれば《中西哲生、中村憲剛、谷口博之、森勇介、井川祐輔、新井章太、武岡優斗、大久保嘉人、武田信平元社長、関塚隆元監督、福田紀彦川崎市長らが登壇。観客も満席の約850人が集まった。》とありました。

天野　しかも有料で2000円でしたからね（笑）。2時間のトークだったんですけど、僕がフロンターレに入社した1997年から、最後の年の2023年までを4分割して、それぞれの時代を共にしたゲストとぶっちゃけトークするという。それこそ、構成から台本からキャスティングからアポ取りまで、全部自分でやりました。壮大な自作自演（笑）。フロンターレでは南極や宇宙とのコラボとか、いろいろ破天荒な企画をやったので、最後の最後まで貫くのが自分らしいかなと思って。

──天野さんだったら、ご自身の葬式もプロモーションしそうですよね（笑）。ちなみにイベントの収益はどうされたんでしょう？

天野　僕は一切もらっていないです。ゲストで来ていただいた、皆さんの交通費やイベント後の懇親会、あとは会場を借りる費用とか、当日の外部スタッフのギャランティをそこで賄いました。

──そのあたりも抜かりないですね。あらためての質問です。東京2020大会組織委員会への出向時代もありましたが、四半世紀以上にわたって勤めてきた川崎フロンターレを離れた理由は何だったのでしょう？　中村憲剛は「現役引退は10年前から考えていた」と言っていましたけれど、天野さんも以前から考えていたんでしょうか？

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