宇都宮徹壱ウェブマガジン

なぜ「シーズン移行は断行される」と予想するのか 理由はチェアマンの意思ではなくJリーグの「本質」

Jリーグ26年までに秋春制移行へ ほぼ全てのクラブが同意》

 スポニチが報じたのは4月13日の早朝のこと。以降、SNS上での私のタイムラインは、この話題がずっと表示されることとなった。先月に無料公開したこちらの記事についても、予想以上の閲覧数があったのだが「そろそろシーズン移行が話題になる」という予感があったのも事実である。

 新体制となったJリーグが、シーズン移行に舵を切る可能性を感じたのは、昨年6月のこと。元Jリーグ常務理事にして前Bリーグチェアマン、大河正明さんにインタビューした時のことだ。就任間もない野々村芳和チェアマンが、ある取材で「事業とフットボールがバッティングした時はフットボールを選びます」と語っていたのを読んで、彼はこんな確信を得たそうだ。

「あれはシーズン移行を意識した発言のように、僕には感じられました。村井さんは降雪地帯のクラブの意見を汲んで、シーズン移行の議論をいったん凍結しました。けれども今回、最も北のクラブで社長をやっていた人がチェアマンになりましたからね。ACLが秋春制になることが決まった今、日本のシーズンが『今のままでいい』という話にはならないでしょう」

 一方、先のスポニチの報道に関して、2人のJクラブ社長が相次いでツイートしている。

 その後、おふたりに個別にインタビューする機会があった。議論があるのは確かだが「ほぼ全てのクラブが同意」という報道は明らかな先走りであったようだ。しかし、別件でJFAハウスを取材した感触でいえば、「Jリーグは間違いなくシーズン移行に進んでいる」というのが、現時点での私の実感である。

 私自身は「ACLがシーズン移行したから」という理由だけで、Jリーグのみならず日本サッカーのピラミッドもシーズン移行をするのは、いささか説得力に欠けるのではないかと考えている。夏場の試合をオフにすることで、プレーのクオリティを維持するという、考え方そのものは否定しない。が、それなら単純に夏にも中断期間を設ければいいわけで、わざわざ開幕を8月にずらすまでもないのではないか、とも思っている。

 そうした思いとは別に、Jリーグはシーズン移行を断行するだろう(そうならなかったら、逆に驚く)。なぜ、そう考えるのか。以下、理由を記すことにしたい。

(残り 1528文字/全文: 2610文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ