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【無料公開】自民党が推薦した理由と立候補の条件 もしも広瀬一郎が静岡県知事になっていたら<2/4>

【無料公開】2002年ワールドカップと知事選立候補 もしも広瀬一郎が静岡県知事になっていたら<1/4>

「大統領」になればスポーツ省が作れる!

──つまり広瀬さんは、電通にいらした20年くらい前から、静岡県知事のアドバイザリーをやったり、地方自治の将来像について提言したりしていたわけですね。それが実は、今回の県知事出馬の伏線になっていたと。

広瀬 そう。その時に「スポーツによる地域振興ってどういうことか?」をやろうとしたの。それが2年前(2011年)にできあがったスポーツ基本法。つまりスポーツ庁を作ることだよね。地方におけるスポーツコミッション。つまり国策として、国益として、スポーツと健康問題をテーマにした省庁を作る。

 でも、これまではそれができなかった。文部科学省がそれをやろうと思っても、厚生労働省の管轄だったから。だから横串を刺さないとできない。実際、僕が静岡県知事の顧問として最初にやったのが、ワールドカップを契機としたスポーツによる地域振興の会議体を作ること。厚生省系、通産省系、自治系とかいろんなやつを集めたんだけど、潰された。

──潰された?

広瀬 そう、県に。県というのは総務省が持っている。総務部長というのが、いわば官僚組織のトップなの。知事、副知事、総務部長。官僚組織のトップが総務部長。

──総務省から派遣されてくる人たちですよね。大分トリニータの社長だった、溝畑宏さんも総務省出身でした。

広瀬 そういうこと。これは明治以来、ずっと変わっていない。総務省の人間としては「スポーツによる地域振興? 何を考えているんだ。そんなの、日本の官僚組織の中では文章として成立しない」ってなるわけ。なぜならスポーツは文部科学省の傘下にあり、文部科学省には地域振興予算がない。官僚組織というのは、そういうことなの。僕はずっとそこと戦ってきたんだけど、「大統領(=知事)」になったら、それが全部できるわけ。

──つまり自分で権力を握ってしまうのが、一番手っ取り早いと。

広瀬 早い!(静岡県に)スポーツ省を作ろうと思った。地域におけるスポーツコミッショナー。つまり、国家におけるスポーツ省と同じことをやる。

──まずは静岡県知事になってコミッションを策定して、それをひとつのプロトタイプとして全国にそれを作っていくということでしょうか?

広瀬 国として来年(2014年)、遅くとも再来年にスポーツ庁ができる(註:2015年に創設)。自民党の綱領にも書かれてある。麻生政権の頃にできるはずだったんだけど、政権交代で結局4年かかってしまった。

──残念ながらスポーツ庁の設立も、民主党による政権交代で後ろ倒しになってしまいました。その先に、今回の知事選出馬があったということですね?

広瀬 そう。僕が「大統領」になるというのはこういうことなんだなって。これまでやろうとしたことが全部できる。

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