宇都宮徹壱ウェブマガジン

なぜ「Jリーグ30周年」は貶められたのか キックオフカンファレンスへの2つの疑問

 先週末、2023年のJ1J2が開幕した(J334日)。私は、いわきグリーンフィールドでのいわきFCvs藤枝MYFCを取材。試合内容については、こちらにも書いたとおりだが、実はこの日は野々村芳和チェアマンも視察に訪れていた。試合後には、両監督の会見の前に、チェアマンのメディアブリーフィングが行われている。

 昇格組同士の対戦については「もっと上を目指すという意気込みと、このカテゴリーでできるだろうかという不安があったと思います」。いわきが3点のビハインドから1点差に詰め寄った展開については「引き分けになってもおかしくなかった。サポーターの熱量が試合を作ってくれたと思う」。そしていわきが7シーズンでJ2に昇格したことについては「Jクラブは地域を喜ばせる活動をやらなければいけないわけですが(いわきの場合は)スピード感がすごい」。

 野々村チェアマンは、形式張らずに過不足ない情報を伝える術(すべ)に長けている。さすがは元Jリーガー、そして元Jクラブ社長。サッカー消費者やサッカーメディア、さらにはステークホルダーの喜ぶツボも心得ている。ご本人も人前でしゃべるのは、決して苦でないはず。だからこそ私は、この時、あらためて思った。

「チェアマン、なぜ火曜日にスピーチしてくれなかったのですか?」と。

 先週の火曜日、都内某所にてJリーグキックオフカンファレンスが開催された。私も取材に訪れたのだが、野々村チェアマンがどんなスピーチをするのか、それが一番の注目点だった。今年は「Jリーグ30周年」の節目に当たり、チェアマンに就任して初めてのキックオフカンファレンス。ゆえにメディア関係者のみならず、ファン・サポーターも期待していたと思う。

 ところが、なぜか野々村チェアマンのスピーチはなし。J1全クラブの選手が勢揃いする中、そこにチェアマンの姿さえなかったのである。代わりにわれわれが見せられたのは、実に残念極まりないキックオフカンファレンス。普段は温厚な私も、久しぶりに頬がプルプル震えるのを感じた。

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