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【無料公開】マスコット総選挙は「オワコン」なのか? 10回で終了したAKB48選抜総選挙から考える<1/2>

マスコット界における指原莉乃は誰だったのか

──くしくも、指原さんがAKB総選挙で初めてセンターポジションを獲得した年に、マスコット総選挙がスタートしているんですよね。マスコット総選挙が、SNSによるセルフプロデュースの時代をなぞっていったのは時代の必然であり、非常に重要な要素だったと言えそうですね。

岡田 僕がサッカー界から離れていくタイミングが2014年だったんですが、それ以前と比べてJクラブでのネットでの発信量が劇的に増加していったんですよね。それはマスコットについても言えることで、2014年以前のマスコット情報はJ’s GOALの写真やレポートで面白いものを見つけるくらいでした。それが今では、マスコット自身が情報発信するのが、当たり前な時代になったわけですよ。

──そこで気になるのが「マスコット界における指原莉乃は誰だったのか」ということですよね。全部ではないんですが、主だったマスコットの公式アカウントを調べてみたら、最も古かったのがふろん太で2009年。その次がキングベル世で2011年でした。以下、ニータンが2014年、マリノスケが2015年、グランパスくんが2016年、ガンズくんが2017年、ヴァンくんが2019年。

だじゅうる ただ「マスコット独自の発信」という点で言えば、ニータンはかなり早かったですよね。2008年からブログをやっていますから。ちなみにTwitterが流行り始めた頃って、ファンによるなりすましのマスコットアカウントがけっこうあったんですよ。ニータンのアカウントに「ほんもの」と書かれているのは、その名残です。

──思えば指原さんもニータンも「大分つながり」で、SNS発信に力を入れてきたのも、拠点が地方都市だったことと無縁ではないと思います。ちなみにヴィヴィくんは、Twitterアカウントは持っていないですよね?

大場 持っていないですね。YouTubeチャンネルは持っていますが。

だじゅうる YouTubeTik Tok、それとInstagramがヴィヴィくんの主戦場ですよね。そこはクラブとして、かなり戦略的にやっている感じです。

大場 クラブ目線で考えた場合、マスコットだけのSNSアカウントを作ってしまうと、管理が難しいんだと思います。基本、必ず広報が一度は目を通したいと思うので。いくつも公式アカウントがあると、広報の作業も大変になるので、できれば作りたくないのが本音でしょうね。

──なるほど。個々の発信の管理というのは、芸能事務所でも重要な課題だったと思います。岡田さん、いかがでしょう?

岡田 事務所によって、対応はさまざまでしょうね。アカウントは完全な事務所管理で、記事の公開もスタッフが行うといった形。アカウントは原則的に個人の管理で、必要なときだけ運営が対応に当たる形。最近の傾向として、少しずつ本人の裁量に任せる形に移行していっていると思います。SNSの活用やそのリスクについては、感覚的には若い世代のほうが、むしろわかっているのは間違いないでしょうし。

──確かにネットやSNSのリテラシーというものは、アイドルの女の子のほうが熟知しているのかもしれない。事務所のおじさんやおばさんが管理するよりも、本人に任してしまったほうが上手く回っているのかもしれないですね。

岡田 もちろん本当にまずい時は、マネージャーが割って入るような仕組みはあるんですよ。アイドルの動画配信なんかでも、裏側でチェックできるようになっているんです。そういったリクスヘッジが前提としてあれば、あとは本人の判断に委ねていくというのが、最も理にかなったやり方なんでしょうね。

<2/2>につづく(12月30日12時更新予定)

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