宇都宮徹壱ウェブマガジン

マスコット総選挙は「オワコン」なのか? AKB48選抜総選挙から考える<1/2>

 2月12日に日産スタジアムで行われたFUJIFILM SUPER CUPで、2年ぶりに全国のマスコットたちが大集合。恒例のJリーグマスコット総選挙の結果発表に加え、久々のグリーティングや初の試みとなる大運動会など、盛りだくさんの内容となった。マスコットに関連した当日の模様は、来月初旬にフォトギャラリー形式でお伝えする予定。楽しみにお待ちいただきたい。

 さて今週は、今年で10回目となったマスコット総選挙について考えてみたい(今年の結果についてはこちら)。今年は横浜F・マリノスのマリノス君が優勝。2位がV・ファーレン長崎のヴィヴィくん、3位が名古屋グランパスのグランパスくんと、波乱のない結果に終わった。一方でマスコットファンの注目を集めたのが、FC東京の東京ドロンパによる総選挙辞退(参照)。これにより、マスコット総選挙は「降りることができる」ことが明らかとなった。

 そういえば、ここ数年はマスコットファンの間で「総選挙疲れ」という言葉が聞かれるようになった。また「そもそも『ウチの子が一番』なんだから順位を付ける必要もないのでは?」とか「マスコットに順位のノルマを課すのは可愛そう」といった、もっともな意見も聞かれるようになった。

 マスコット総選挙は、2009年から始まったAKB48選抜総選挙から着想を得ている。そのAKBの総選挙、実は2018年を最後に行われていない。これが、ちょうど第10回。2013年から始まったマスコット総選挙も、今年で第10回。AKB総選挙がそうだったように、マスコット総選挙も大きな曲がり角に来ているのではないか?

 そこで今回は3人の識者をお招きして、マスコット総選挙の課題とこれからについて議論することにした。ご参加頂いたのは、Jリーグマスコットのことばかり考えるブログ」を運営している、だじゅうるさん(写真右上)。グッズデザイナーとしてマスコットとの関わりが深い、大場理惠さん(同左下)。そしてアイドル業界に詳しい、岡田康宏さん(同右下)である。

 果たして、マスコット総選挙は「オワコン」なのか? 存続するとしたら、どのような点を改善すべきなのか? そしてJリーグは、マスコット文化をどう活用していくべきなのか? 今回の座談会はマスコットファンのみならず、Jリーグのしかるべきポジションの方々にもぜひ、お読みいただきたい内容となっている。(2022年2月5日、オンラインで実施)

<1/2>目次

*東京ドロンパの総選挙辞退をどう評価するか?

*マスコット総選挙の10年を3つに区分すると

*マスコット界における指原莉乃は誰だったのか

東京ドロンパの総選挙辞退をどう評価するか?

──今年で10回目を迎える、Jリーグマスコット総選挙。その是非とマスコット活用のあり方について、さまざまな分野での知見をお持ちの方々にお集まりいただき、議論を深めていければと思います。まずは岡田さんから、簡単な自己紹介をお願いします。

岡田 サポティスタという、サッカー情報サイトを運営していた、ライター兼編集者の岡田康宏といいます。サッカーとアイドルが趣味で、最初はサッカーのほうが仕事になったんですけど、そのうちアイドルの仕事が増えていって、ここ5~6年はアイドルグループの運営をメインでやっています。よろしくお願いします。

大場 大場理惠と申します。主にJリーグのグッズのデザインと制作をさせていただいています。わかりやすいところでいうと、だじゅうるさんの後ろに映り込んでいるぬいぐるみなんかもそうですね。マスコット関連のグッズ制作にも携わってきているので、今回お声がけいただいたと認識しています。よろしくお願いします。

だじゅうる マスコットのブログを書いている、だじゅうると申します。これまでインタビューを受けたことがない人間ですので、そこはまず強調させていただきます(笑)。現在は京都在住ですが、岡山出身なのでファジアーノ岡山とファジ丸を応援しています。2010年からマスコットに興味を持つようになって、ブログで発信するようになったのは2015年から。今日はマスコット好きサポーター代表として、お話できればと思います。

──ということで今回は、三者三様の立ち位置から、それぞれが考える「マスコット総選挙の是非」について論じていきたいと思います。この中で現在、サッカーとの距離感が最も遠そうな岡田さんに質問です。マスコット総選挙というものは、毎年チェックはされているんでしょうか?

岡田 何となく、やっているのは知っていました。ちゃんとJリーグがオフィシャルでやっているとは思わなくて、ずっと勝手連で盛り上がっていると思っていたんですよ(笑)。ですので「意外としっかりやっているな」というのが正直な印象です。

──やはりJリーグファン以外からの視点は重要ですね(笑)。今年の総選挙は無事に行われる予定で、ほぼすべてのマスコットが試合会場に集合するようです。けれども去年はコロナの影響で、総選挙は行ったものの結果発表のみ。今年の実施に関しては、かなり流動的だったとの情報もあったのですが、大場さんは何か聞いています?

大場 おそらくJリーグも、ぎりぎりまで迷ったと思うんですよ。去年の12月20日くらいだったと思いますが、とあるクラブさんと商談した時に「まだ何も聞いてない」とおっしゃっていたんですね。全国からマスコットを集めるのか、もふチケを出すのか、まったく決まっていなかったみたいです。感染者の推移がどうなるのかも、非常に予測がしづらい状況だったというのもあったと思います。

──結局、総選挙の開催が発表されたのが1月17日。同日、FC東京のドロンパが参加辞退を発表しました。この影響については、どうご覧になっていますか?

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