宇都宮徹壱ウェブマガジン

マスコット総選挙は「オワコン」なのか? AKB48選抜総選挙から考える<2/2>

マスコット総選挙は「オワコン」なのか? AKB48選抜総選挙から考える<1/2>

 

<2/2>目次

Jリーグアウォーズに「ベストマスコット賞」を

*マスコットを大人メインで消費させてよいのか?

*自分たちのマスコットを溺愛するクラブは強い!

Jリーグアウォーズに「ベストマスコット賞」を

──あらためて岡田さんにお聞きしたいんですが、AKBの総選挙が10回で終わった一番の理由はなんだったのでしょうか?

岡田 理由は複数あるとは思います。ひとつには「総選挙疲れ」というような、メンバーやファンの負担が大きすぎるという部分はあったでしょうね。それ以外の複合的な理由も含めて、そろそろ潮時だなということだと思います。マスコット総選挙も、そういう雰囲気ってあるんでしょうか?

だじゅうる マスコットの「総選挙疲れ」が意識されるようになったのって、2016年くらいだったと思います。この年の投票方法が、ハッシュタグを付けてツイートするというもので、RTしたら票がさらに増えるというシステムだったんですよ。ですから、タイムラインがマスコットのRTだらけになったのを鮮明に覚えています。今はもう1日1票になったし、LINEからの投票だったら負担は感じることはないんですけど。

大場 負担という意味では、クラブスタッフも大変ですよね。甲府の以前の「ヴァンくんの飼い主」として有名なスタッフさんは、総選挙の時だけ普段使っていないTwitterアカウントを稼働させていたんですよ(笑)。しかも、むちゃくちゃ自分のプロフィールを晒して、身体を張ってヴァンくんのアピールをされていたので、感心して見ていました。

だじゅうる そこまでやっても、なかなか上位に行けないところに総選挙の難しさを感じますよね。あれだけ頑張って、ヴァンくんの中間発表が15位ですから。

──ヴァンくんといえば、確か第1回総選挙の中間発表で1位だったじゃないですか。あれはJ’s GOALの影響が大きかったと思います。その後はSNSがアピールの主戦場になって、ヴァンくんの苦戦が続いているわけですが、要するにこの10年の環境変化も大きく影響しているんじゃないですかね。

大場 10年どころか4~5年で変わってしまいますよね。今だったらヴィヴィくんみたいに、YouTubeInstagramでアピールしたほうがいいかもしれない。

岡田 そういう環境変化に対して、総選挙というシステムを続けること自体に意味が見いだせなくなってきた部分って、アイドルにもあったと思っています。メンバー全員を集めて投票することに、どれだけの意味があるんだって話ですよ。そういう中で、投票する側もされる側も疲弊していくというのは、どのジャンルでも起こり得ることだと思います。ただし、総選挙をなくしてしまえばいいかというと、そこはちょっと難しいところですよね。マスコットの活躍の場が、失われることになるかもしれないですし。

──私はそうは思わないですね。そもそもマスコットの評価基準って、一時的な人気投票にすべてを委ねるべきではないと考えているんですよ。まずはホームタウン活動、最近で言えばシャレン!ですよね。それからグッズ販売の貢献度だったり、メディアへの露出度だったり。そういったものを精査して、Jリーグアウォーズで「ベストマスコット賞」をきちんと設けるべきだと思うんですよね。

大場 確かに。

──まあ、これは以前から主張してきたことなんですが(苦笑)。もちろんマスコット総選挙が、シーズン開幕の盛り上げに大いに貢献したことは事実です。それ以外にも、10年続けて良かったことは、たくさんあったと思います。けれども、マスコットがセルフプロデュースして、自分の価値を高めていった先に、何があるのかって話だと思います。消耗しながら総選挙を続けるんだったら、むしろ「ベストマスコット賞」を作ったほうが、より建設的じゃないかって私は思うんですよね。

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