宇都宮徹壱ウェブマガジン

なぜ2024年は地方でのイベントを連続開催するのか? 岡山と金沢の「蹴日本探訪」で個人的に考えていること

 2024年シーズンの開幕が、もう目前。今週の土曜日は、国立競技場にてFUJIFILM SUPER CUP、そして来週の3連休からはJ1J2J3の第1節が次々と開催される。どの会場で新シーズンを迎えるのか、毎年の楽しい悩みではあるのだが、今年は開幕カードが発表された時点で決まっていた。エディオンピースウィング広島(Eピース)で行われる、サンフレッチェ広島vs浦和レッズである。

 今年のJリーグは、3つのフットボール専用スタジアムがオープンする。広島のEピース以外にも、金沢ゴーゴーカレースタジアム(ゴースタ)、そして秋に開業となる長崎のPEACE STADIUM Connected by SoftBank(ピースタ)。それぞれ、初の公式戦開催を現地で取材することが、今年の私の密かな目標である。

 実はもうひとつ、今年は個人的に目標としていることがある。それは、取材先でのトークイベントの開催。それも単発ではなく、できれば月1ペースでのシリーズものにしたいと考えている。それが「蹴日本探訪」(略して蹴探)。これを思い立った理由について、先の告知テキストから引用する。

 この20年の間に、私が現地取材したクラブの多くがJリーグに到達。J1クラブとなったり、専用スタジアムを竣工したり、といったトピックスも珍しくなくなった。サポーターの世代交代も進んで、仕事終わりの土のグラウンドでの練習とか、地域決勝で流した歓喜や絶望の涙とか、そういった黎明期の記憶はどんどん風化しているのが実情だ。

(中略)

 実際、地域リーグ時代から取材してきたクラブの中にも「地元にクラブがあって当たり前」とか「負けたチームを罵倒して当然」といった空気がスタンドに蔓延していて、軽い衝撃を受けたこともたびたびあった。クラブの黎明期を取材してきた立場として、こうした状況を是認することには、ずっと違和感を覚えていたのである。

 そこで思い立ったのが、かつて取材でお世話になった土地でトークイベントを開催して回る「蹴日本探訪」──と続くのだが、実はこうした思いとは別に「切実な問題」もある。かねてより私が懸念している、ネットメディアの現状と併せて、WM会員の皆さんに共有することにしたい。

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