あらためて浦和レッズの懲罰について考える 4つの視点から見える「例の問題」との類似点
先日、所用で久々に浦和駅に降り立つ機会があった。埼玉の人にとっては言わずもがなだが、いつも浦和を訪れるたびに「サッカーのまち」というフレーズを想起せずにはいられない。
まず、改札を出て1分ほど歩けば、クラブのオフィシャルショップ「RED VOLTAGE」があるのがすごい。駅前のパルコには、いつも《浦和パルコは浦和レッズを応援しています》というメッセージと巨大な集合写真が掲げてある。細い路地に入ると、行列ができるラーメン屋や昔ながらの魚屋が並ぶ中、見上げるとレッズの小旗がはためている。
もし海外の友人から「日本を代表するフットボールシティに行きたい」と頼まれたら、私は迷わず浦和を案内することだろう。もちろん、清水や松本も捨て難いが、やはり浦和は別格。1シーズンを除いてトップリーグを戦い続け、3回にわたってアジアチャンピオンとなり、熱量のある応援とコレオグラフィは欧州や南米の名門クラブと比べてまったく遜色がない。そんなクラブのホームタウンは、浦和を置いて他にはない。
その浦和レッズに、重大なペナルティが下されることとなった。来季の天皇杯出場停止──。8月2日に行われた天皇杯ラウンド16にて、名古屋グランパスに0-3で敗れた試合後、70人以上の浦和サポーターが暴徒化したことを受けて下された、厳しい処分である。直後に拡散された動画では、暴徒たちが相手サポーターや警備スタッフに掴みかかったり、名古屋側の横断幕や施設内の備品を損壊したりするなどの行為が確認されている。
事件発生からJFAによる懲罰の発表まで、結果として7週間を要することとなった。これがJリーグにおける事案であれば、もっと早く発表されていただろう。今回のケースはJFA主催のカップ戦であり、加害側のクラブがすでに敗退していたため、無観客や勝ち点剥奪といったペナルティでは意味をなさない。そうした背景もあって、来季の天皇杯出場停止という厳しい決定に至ったのだろう。
すでに本件に関しては、さまざまな意見や論考が世に出ている。少し時期を逸してしまったが、この間に考えてきたことを、私自身もあらためて記すことにしたい。私がここで提示するのは、以下の4つの視点である。
1) スタジアム外への影響
2) あり得ない「現状維持」
3) 熱量とルール遵守の両立
4) あらゆる忖度の排除
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