宇都宮徹壱ウェブマガジン

「フロンターレみたいなクラブが全国にあればいいよね」 シャレン!アウォーズから考える社会連携の意義<3/3>

「フロンターレみたいなクラブが全国にあればいいよね」 シャレン!アウォーズから考える社会連携の意義<2/3>

 

米田惠美、佐伯夕利子、髙田春奈と変わった担当理事

──2017年以降は、タイトルを連続して獲得しているフロンターレですけれど、ピッチ上での強さ以外で評価されていたクラブというのは、それほど多くはないですよね?

鈴木 フロンターレのアプローチって、最多タイトル数を誇る鹿島さんや熱狂的なサポーターが多い浦和さんとは、異なるスタイルだと思うんです。地域での活動を熱心にやって、その上でピッチ上でも結果を出すことができた。そういう部分を評価されていただいているのであれば、その現場にいた自分がJリーグに行って社会連携を担当することに、何か意味があると考えました。

──ところが、鈴木さんがJリーグに来て1年後の2020年、米田さんが理事を退任されます。シャレン!を引き継いだのは、新たに理事に就任した佐伯夕利子さんでしたが、コロナ禍でスペインから帰国することができず、ずっとオンラインでの参加となってしまいます。この状況って、鈴木さんにとってけっこう大変だったと思うのですが。

鈴木 おっしゃるとおり、2020年は本当に大変でした。佐伯さんも日本に入国できないですし、会議はほぼオンラインなので、佐伯さんももどかしかったと思います。その間は副理事長だった原さんがサポートしてくれましたし、村井さんもチェアマンの任期が続いていましたので、その部分では助けられました。

──佐伯さんは遠隔でしか関われませんでしたが、それでもJリーグのシャレン!については非常に高く評価されていました。以前、インタビューした際にも「これはヨーロッパにはない考え方です」と強調されていました。

鈴木 佐伯さんは30年以上、スペインで生活されていて、ずっとフットボールの現場で仕事をされていた方ですよね。現地でUEFAのプロライセンスまで取得されているような方が、Jリーグの社会連携について高く評価してもらえているというのは嬉しいです。だからこそ、もし佐伯さんがJFAハウスに2年間いていただいていたら、シャレン!と競技や選手が連携することができたんじゃないかって、今でも思います。それができなかったのは、私の力不足でもありました。

──本当にそうですよね。そんな中、2020515日に第1回シャレン!アウォーズがオンラインで開催されました。緊急事態宣言という状況下で、よくぞ開催されましたよね。

鈴木 本来ならばJリーグアウォーズで表彰したかったんですが、アウォーズはすでに表彰項目が目白押しで、入れ込むことが難しい状況でした。そこで12月のアウォーズではなく、シャレン!独自のアウォーズにしようという話になったんですね。「Jリーグの日」の515日に決まったのは、その年の2月くらいでした。

──つまりコロナの感染拡大の直前ということですよね?

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