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【無料公開】ちょんまげ隊長ツンさん「最後のお願い」 「トモにカタールへ」に協力してください!<2/2>

史上最もコンパクトなワールドカップを楽しむために

──最後に確認したいのが、現地に持っていく衣類です。11月でも暑いとは思うんですが、薄着だけだとまずいですよね?

ツン 去年の12月に行った時は、日中の気温が30度前後でしたね。ただし湿度がないので、カラッとしていて過ごしやすかったです。逆に夜は18度くらいまで下がるので、寒暖差でけっこう寒く感じられるでしょうね。薄手のダウンジャケットくらいは、持っていったほうがいいと思います。

──ちなみに現地のスタジアムは、本当に冷房システムが完備されていましたか?

ツン 8つの会場のうち7会場は、スタジアム内に冷房施設が完備されていました。今回のプレーオフを観戦した時も、昼は48度で夜でも35度以上はあったのに、スタジアム内はかなり涼しかったです。セキュリティスタッフも、かなりの厚着でしたから。

──それほど高機能の設備を持つ、4万人以上収容のスタジアムを8つも作って、大会後はどうするんですかね? 国内リーグも集客は期待できないから、解体してしまうんでしょうか?

ツン 仮設のスタジアム974は、大会後に壊すことが決まっているみたいですが、残りは改装して引き続き使うみたいです。規模は縮小するんでしょうけど。

──果たして、そうまでしてカタールでワールドカップをする意義は、あるんでしょうか。今さらですけど(苦笑)。

ツン 天然ガスが枯渇した時のことを考えて、カタールはスポーツ立国となることを目指しているんですよ。サッカーだけでなく、テニスや陸上やF1の国際大会を引っ張ってきたのも、そこからの逆算なんですよね。とはいえカタールの人口って、外国人労働者を含めても300万人くらいしかいない小さな国です。そんな国に何百万人もの旅行者が海外から押し寄せたら、大変なことになりますよね。交通渋滞も発生するし、ホテルだって足りなくなる。でも彼らは、そこのところも考えているんですね。

──それって、どういうことですか?

ツン たとえばチケット。それまで1人が買える上限が30枚だったのが、今大会は2倍の60枚買えるようになりました。つまり1人が観戦できる試合数を増やせば、それだけ旅行者の数を絞ることができるわけです。それともうひとつ、4月の2次販売は日本在住の知り合いはほとんどが外れているんですけど、カタール在住の人たちはほぼ全員が当たっているんですよね。

──そうか、チケットの当選者をコントロールすることで、旅行者の数は制限しつつもスタンドを埋めることができると。仮説としては面白いです(笑)。

ツン 旅行者の数を絞りながらも、スタジアムは観客で満員に盛り上がらないといけない。世界が見ていますからね。カタールの本気度を考えれば、十分にあり得ると僕は思っています。本気度という話でいうと、今回も被災地の子供たちとの交流イベントを考えていて、現地の日本人学校にも協力をお願いしたんですよ。そうしたら「ツンさん、協力したいのは山々なんだけれど、大会期間中はカタール中の学校は閉鎖なんですよ」と言われてしまって……

──え、本当ですか?

ツン おそらく交通渋滞緩和か、あるいは子供たちが観戦できるようにするためだと思います。さっきの「ホテルから出てくれ」というのと同じですね。ワールドカップを成功させるためなら、そして大会を観に来た人のホスピタリティが保証されるなら、どんなことでもまかり通ってしまうんですよ。

──これまでずっと「何でカタールなんかでやるの?」と思っていましたが、ツンさんの話を聞いているうちに「これはしかと見届けなければ」と考え直しました(笑)。最後に、カタールに行くかどうか迷っている人に、ツンさんから一言ありますか?

ツン 次の2026年大会が、北中米3カ国で開催されることを考えれば、今大会はむちゃくちゃコンパクトですよね。コンパクトゆえの民族大移動がない代わりに「ステイワールドカップ」ゆえの弊害もあるかもですが、僕は楽しめることのほうが多いと思っています。

 たとえばですが、これまでのワールドカップは1日にだいたい3試合が行われました。でも今大会、キックオフの時間が13時、16時、19時、22時と4試合なんですよね。地下鉄を上手く使えば、ハシゴ観戦が可能なんです。コンパクトな日程は、会社を休んで来る人にとってもありがたい話ですよね。

──確かにそうですね。コロナ禍以降で初のワールドカップとなりますが、日本のサポーターにもできるだけ多く来てほしいですよね。

ツン 今回、ドイツやスペインから、たくさんのファンが来ると思うんです。距離的には日本のほうが遠いですが、なるべくスタンドをブルーに染めたいじゃないですか。なるべく多くの人数で熱い応援をしていれば、中立の人たちもこっち側に付いてくれますし。日本の悲願であるベスト8のためには、ひとりでも多く現地で応援してくれる人を増やしたいんですよ。

──さすがツンさん、そこまで考えていましたか!

ツン それとやっぱり、なるべく多くの人たちにワールドカップを楽しんでほしいですね。世界中のサポーターとの交流を体験することで、それが巡り巡って日本のサッカー文化を押し上げることにつながっていくと信じています。そのためにも僕、これからもどんどん発信していこうと思います!

──今回のインタビューも、その一助になればと思います。ツンさん、有難うございました!

<この稿、了>

【編集部より】今回のツンさんの情報が「参考になった!」という方、ぜひとも「トモにカタールへ」のクラウドファンディングにご協力ください。

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