宇都宮徹壱ウェブマガジン

「声出し応援」の機運を促した代表戦での変化 そして今後の議論で考えなければならないこと

 ワールドカップ本大会の組み合わせが決まった。グループステージ第2戦の相手が、コスタリカとニュージランドのどちらになるかは、6月中旬の大陸間プレーオフの結果次第。その時までは、この話題はいったん沈静化することだろう。この間、国内のサッカーファンが注目するのは、スタジアムでの「声出し応援の解禁」をめぐる議論ではないか──。個人的には、そう思っている。

 4月4日に行われた、NPBJリーグによる新型コロナウイルス対策連絡会議後の会見。Jリーグの野々村芳和チェアマンは、この件に関して「今は難しい状況であると理解している」とした上で「何が必要かをリーグでも考えている。政府、スポーツ庁、産総研と勉強会を始めていることはお伝えしておきます」と続けている。つまり「声出し応援の解禁」について、具体的な検討がすでに始まっている、ということだ。

 このうち、政府やスポーツ庁はわかるとして、産総研については馴染みのない方も少なくないかもしれない。産総研とは、国立研究開発法人産業技術総合研究所の略称。こちらの記事から引用すると、以下のとおりである。

 産総研は、経済産業省所管のわが国最大級の公的研究機関です。研究者が2300人くらいいて、エネルギーや環境課題解決、AI技術の開発、新材料の開発、地質の調査、さらには長さ「メートル」や重さ「キログラム」の定義など、要はさまざまな産業技術に関わる研究をしているところなんですよね。

 説明してくれたのは、産総研の保高徹生さんである。くしくも会見が行われた日、私は茨城県つくば市にある産総研を訪れて、保高さんに「声出し応援の可能性」についてインタビュー取材を行っている。詳細については、今月下旬に記事に出すので楽しみにお待ちいただくとして、本稿では声出し応援を議論する上での前提条件について、考察してみたいと思う。

 なお産総研が行った、最近のサッカースタジアムにおける感染予防の調査結果は、すでにオープンとなっている。興味がある方はご覧いただきたい(いずれもpdf)。

サッカーFIFAワールドカップカタール2022 アジア最終予選における感染予防のための調査

天皇杯JFA 101回全日本サッカー選手権大会準決勝および決勝における感染予防のための調査

(残り 1888文字/全文: 2820文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ