中野吉之伴フッスバルラボ

【ゆきラボ】ドイツで育つ大豆の話/紙とデジタル、過渡期の話

こんにちは!今日は少し前、7月の写真で恐縮ですが、こちらの話題から。

畑が広がるのんびりした風景。いつものジョギングコース脇に広がる光景です。フライブルク市の郊外では、少し走って住宅地を出ただけで、森や土手、そしてこんな田園地帯と、緑豊かで車の少ないコースが広がっています。

去年の夏、ここを通ったときはトウモロコシ畑だったと思うのですが、今夏は何か違うものが植えられています。日本の地方都市で育った私には、何だかとっても懐かしい見た目。

そう、枝豆です!もとい、大豆です。私の地元は枝豆の産地なので、畑から引き抜いてきた枝豆の株から豆を取ったり、豆のからを入れるゴミ箱をチラシで折ったりするのが、その地方の定番の子どものお手伝いでした。

聞こえますか……農家の人……まだ熟す前にその枝豆を引っこ抜いて、もぎたてを塩ゆでにしてビールと食べるのです……もしくは……土がついた株ごと、新聞紙にくるんで市場に持っていくのです……きっとフライブルク在住の日本人が喜んで買いに来ます……

過去に何回か、ドイツのベジタリアン/ビーガン食文化について書いたことがありました。(過去記事1過去記事2)環境への配慮や宗教的・倫理的な理由を背景に、肉食を止めたり、肉の消費を減らしたりする人が、ドイツにはたくさんいます。それに伴って、大豆やひよこ豆など、たんぱく質が取れる植物性食品の需要も伸びています。

大豆はもともとヨーロッパの土壌では育たなかったそうで、以前は中国やブラジルなどからの輸入品が主流でした。近年は、大豆の需要が増えたことと、地産地消の意識が高まったことで、ヨーロッパ産の大豆も増えてきています。

イメージ https://www.photo-ac.com/

フライブルクには、タイフーンという豆腐メーカーもあり、こちらはヨーロッパでの豆腐製造の草分け的な会社となっています。1987年に設立されたタイフーンは、1997年からすでに地産地消を目指して、地元の農家とオーガニック大豆の栽培を開始。2017年からは、使用する大豆を全てヨーロッパ産に切り替え、近年はホーエンハイム大学との共同研究で、豆腐に適した新種の大豆を開発するなど、とにかく大豆、そして豆腐への愛と情熱がすごいのがこのタイフーンです。

2000年代には、オーガニック専門スーパーに行かないと手に入らなかったタイフーンの豆腐は、今やドイツの主要スーパーならたいてい置いてあるようなメジャーな食品になっています。豆腐業界に参入する企業も増え、Tofuという言葉が普通に通じるようになったのも、タイフーンのおかげかもしれません。次はぜひ、Edamameも市民権を得てほしい、そして冷凍でない生の枝豆がスーパーに並ぶようになってほしい!と切実に願う今日この頃です。

後半は話題を変えて、ドイツの紙/デジタル折衷社会の話です。

(残り 2178文字/全文: 3358文字)

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