中野吉之伴フッスバルラボ

【対談】ドイツ代表の今と昔とこれからと。ドイツ人ジャーナリストのフロリアン・ラインエックに話を聞いた①

▼ フロリアン・ラインエック氏と対談

ドイツリーガ連盟(DFL)を中心にブンデスリーガやドイツ代表についての記事を執筆しているフロリアン・ラインエック氏にZOOMでインタビューをする機会があった。時期は6月。カタールワールドカップでのグループリーグ敗退を受けて、ドイツ代表が立て直しを図るべきころだった。

ご存じのように6月のウクライナ代表、ポーランド代表、ペルー代表との3連戦ではは1分け2敗と芳しくない戦績に終わった。そして「9月には新しい本当の顔をお見せすることを約束する」と話していたハンシィ・フリック監督が、日本代表に1-4で敗れて解任されたのは記憶に新しい。

ラインエック氏に話を伺ったのは、「ドイツ代表はこのままで大丈夫か?」ということだけではなく、これまでのドイツ代表で印象に残った試合はどんなものがあったのか?ドイツ代表のこれまでをどのように見てきたのか?そしてこれからのドイツ代表はどうなっていくのだろうか?そんな《過去》と《いま》と《未来》をつなぎ合わせてみたかったからだ。

ちょうどウクライナ戦がドイツ代表通算1000試合目だったので、タイミングとしてもちょうどいい。ポジティブに、そしてネガティブに心に残っている試合はどんなものがあったのだろうか。数多く印象的な試合がある中で、彼はどの試合をどんな視点でピックアップしたのだろう。

—- ラインエックさんがドイツ代表を見出したのはいつ頃ですか?

ラインエック「代表熱が高まるのは実はゆっくりだったんだ。86年W杯が初めて追っかけた大会だったけど、私はマラドーナファンだったんだ(笑)。ドイツは準決勝でフランスに勝利したけど、あの大会はいいパフォーマンスではなくて、それでも勝ち残っていた。プラティニ、ティガナ擁するフランス相手に見せた試合は素晴らしかった。私の記憶で最初に鮮明に残っている試合だよ。

88年欧州選手権は母国開催ながら、準決勝でオランダに負けてしまった。1-2だった。1974年W杯決勝の大きなリベンジをされてしまった形だね。

そして感情がはじけたような試合というと1990年開幕戦のユーゴスラビア戦が私の場合はそれだ。あの試合からは確かな可能性を感じさせられたからね。

そのあとオランダとの決戦は一つのハイライトとなった。ライカールトとフェラーが小競り合いをして唾を掛け合って両者退場となった刺激的な試合だ。クリンスマンがおそらく彼の代表キャリアでベストゲームをした試合だったと思う。伝説の試合の一つだ。

90年W杯すべての試合は素晴らしかった。準決勝ではイングランドとのPK戦。まさに死闘だった。決勝戦は内容的にそこまでではなかったかもだけど」

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