J1第6節全試合振り返りLIVE(J論)【3/18(火)21時】

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引退から5年、福山シティFCに来た理由 元なでしこGK山根恵里奈の現在地<1/3>

 今週は当WMには珍しく、女子サッカーをテーマにお届けする。元なでしこジャパンGKの山根恵里奈さん。彼女は今年、中国リーグ所属の福山シティFCにジョインしている。女子サッカーといえば、WE Love女子サッカーマガジン。だが、今回は「ハーフウェイカテゴリーで働く人」ということで、当WMにて山根さんに登場していただくこととなった。

 山根さんは1990年生まれで広島出身。2004年のスーパー少女プロジェクトに参加したのがきっかけで、JFAアカデミー福島の1期生となる。高校卒業後、東京電力女子サッカー部マリーゼ、ジェフユナイテッド市原・千葉レディース、そしてスペインのレアル・ベティスに2シーズンプレーし、再びジェフ千葉に復帰している。

 代表では、2009年になでしこジャパンに初選出。2015年のワールドカップカナダ大会に出場するも、翌16年のリオデジャネイロ五輪出場権を逃している。そして2020年に現役引退を発表。WEリーグ開幕前での引退を惜しむ声は少なくなかったように記憶している。

 身長188センチの大型GKとして期待されながら、なぜ山根さんは30歳でスパイクを脱ぐ決断をしたのか? 福山シティに来るまでの間、どのようなキャリアを歩んでいたのか? そして現在の日本女子サッカーの現状を、どのように見ているのだろうか? さっそく、ご本人に登場していただくことにしよう。(取材日:2025217日@福山市)

インタビュー時のものを除いて写真は山根恵里奈氏の提供

中学卒業後に離れた広島に戻ってきて

──今日はよろしくお願いします。福山シティFCにジョインして1カ月ということですが、こちらではどんな仕事をされているのでしょうか?

山根 「役員室」ということで、クラブ代表の岡本(佳大)のアイデアをどんどん具現化して、新規事業やプロジェクトを動かしたり、地域との連携を深めたり、といったことがメインの仕事です。福山市だけでなく、近隣の府中市や神石高原町とも包括連携協定を結んでいて、私は府中市を担当しています。

──山根さんはもともと広島市の出身ですよね?

山根 そうなんですけど、中学の時までしかいなかったので、わからないことが多いですね。福山といえば、子供の頃にバラ祭りとか、みろくの里(遊園地)なんかには来たことがありましたけど。

──2020年の引退後から現在に至るまでについては、あらためて振り返っていただきたいと思います。ちょうどコロナ禍という大変なタイミングで、セカンドキャリアをスタートさせることになりました。ご自身では、どういうプランを持っていたのでしょうか?

山根 ジェフ千葉時代の2014年から、アスリート社員雇用という形で、三井住友海上でお世話になっていました。具体的な仕事内容は、保険営業事務のアシスタントみたいな感じで、契約した書類が各支社から集まってきて、それが問題ないかをチェックしてセンターに送る、という感じですね。引退後は職種が変わるかもしれないけれど、会社に残ることをまず考えていました。

──けれども結果として、カレン・ロバートさんが代表を務める、房総ローヴァーズ木更津FCで働くことになりました。きっかけは?

山根 ジェフのスポンサーをされていた、木更津の企業の社長さんがカレンさんをつないでくれたんです。ローヴァーズの名前は知っていたんですけど、カレンさんがどういう思いでクラブを運営されているのかを知って、「面白そう」と感じました。ちょうど引退を考えていた時に話を聞いて、自分がローヴァーズで働くイメージも浮かびましたし、これがひとつタイミングかと思って、それでお世話になろうと。

──指導者になることは考えていなかったのですか?

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