宇都宮徹壱ウェブマガジン

ところで「リブランディングって何なん?」  琉球&徳島&清水サポーター座談会<1/3>

 1210日、J1の名古屋グランパスが来季から使用する新エンブレムを発表した。

 2023年はJクラブのリブランディングによる、エンブレムやロゴの刷新が相次いだ。名古屋以外でも、FC東京、徳島ヴォルティス、ザスパクサツ群馬、そしてFC琉球がリブランディングを行っている。名古屋のケースはSNSの反応を見る限り、ファン・サポーターは概ね好意的だったが、逆にハレーションを起こしたケースも少なくなかった。

 FC東京のケースでは、ホームゲームでの敗戦直後の発表ということもあり、スタンドはブーイングに包まれた。そしてFC琉球のケースでは、クラブ側が発表した新しいエンブレムに対して、説明会に出席したファン・サポーターが反発。結果、クラブ側は再度の説明会を開き、修正案を示して理解を求めることを余儀なくされた。

 琉球の件に関しては、以前にこちらのコラムで書いている。今週は、この機会にリブランディングについてサポーター目線で考えるべく、オンラインによる座談会を実施。コラムでもご登場いただいた、FC琉球サポーターの池間弘章さんに加え、徳島ヴォルティスサポーターの森野誠之さん、そして清水エスパルスサポーターの加藤麟太郎さんにも参加していただいた。

 おそらく「FC東京のサポーターも加わったほうが良かったのでは?」と考える読者もいることだろう。もちろん私もそれは考えたのだが、残念ながら協力者を見つけることは叶わなかった(理由は後述している)。とはいえ結果として、この顔ぶれで正解だったと思っている。他クラブのファン・サポーターはもちろん、これからリブランディングを考えているクラブ関係者にも、ぜひお読みいただきたい。(20231128日、オンラインにて収録)

Jクラブの嚆矢となったヴェルディのリブランディング

──今日は皆さん、ご参加いただきありがとうございます。狭いサッカー界ですので、共通の友人・知人はいるかと思いますが、3人とも初対面だと思います。まずは簡単な自己紹介から。年功序列ということで(笑)、池間さんからお願いします。

池間 那覇市内で「カンプ・ノウ」というフットボールカフェの経営をしている、池間弘章と申します。FC琉球ができる前から、沖縄のサッカーを応援しています。沖縄県民にとってのJリーグって、ずっと遠い場所で行われているイメージしかなかったですから。

──それでもFC琉球が設立されて、今年で20年じゃないですか。

池間 いろいろありすぎた20年でしたね。まず、所属選手全員が退団。エンタメ系のオーナーが参入したと思ったら予算の食いつぶし。クラブが潰れそうになったことが、本当に34回くらいあったんですよ。先輩Jクラブのサポーターからも「琉球って、すごいよね。いろんなことがありすぎ!」って言われています。

──今回のリブランディングでも話題になりましたよね。

https://twitter.com/fcr_info/status/1717496191964070269

池間 実際、サッカーをあまり知らない人からも「FC琉球って、毎年のようにごちゃごちゃしていますよね」って言われて(苦笑)。こちらとしては「長い目で見てください」としか言いようがないです。

──なるほど、ありがとうございます。続いて森野さん、加藤くん、お願いします。

森野 森野誠之と申します。TwitterX)上では「ヴォルティス堂」というアカウントで、もともと名古屋の人間なんですけど、リカルド・ロドリゲス監督のサッカーに惚れ込んで徳島ヴォルティスを応援するようになり、今は名古屋と徳島の2拠点生活を続けています。サポーター歴は7年くらいですかね。本業はウェブマーケティングで、ネットを使ってどう稼いでいくかという仕事をしています。

加藤 加藤麟太郎と申します。清水エスパルスの24年来のファンで、親に連れられて5歳の時から日本平に通っています。実は6年前にカンプ・ノウを訪れていて、その時に池間さんとはお会いしているんですよ。それと森野さんとは、倉敷保雄さんのオンラインコミュニティでつながっていて、今日は直接お話できて光栄です。よろしくお願いします!

──というわけで、今日は琉球サポの池間さん、徳島サポの森野さん、そして清水サポの加藤くんの3人にお集まりいただき、それぞれの視点から「クラブのリブランディングのあり方」についてディスカッションしていきたいと思います。まず、森野さんに質問です。なぜ近年、これほどJクラブのリブランディングが相次いでいるのでしょうか?

森野 すべては2017年のユヴェントスのリブランディングから始まったと思っています。日本で先陣を切ったのが東京ヴェルディで、クラブ設立50周年に当たる2019年でした。

──あれはインパクトがありましたよね。ただし、せっかく独自のタイポグラフィを作ったのに、2021年からJリーグが統一フォント「J.LEAGUE KICK」を採用したので、しばらくは凍結することになってしまいましたが。

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