宇都宮徹壱ウェブマガジン

「オセアニアの侍」との出会いから生まれた野心 ロング・アフターワード(長いあとがき)<2/8>

53歳で迎えた「人生第3の転機」に考えたこと ロング・アフターワード(長いあとがき)<1/8>

「宇都宮さん、僕、フットボールに復帰しました! 昨日、ハミルトン・ワンダラーズの試合で出場することができたんです!」

 興奮したような息づかいが、電話口からはっきりと聞こえる。声の主は、私が「オセアニアの侍」と命名した松本光平。私が構成を担当した『前だけを見る力 失明危機に陥った僕が世界一に挑む理由』の著者であり、主人公である。

 当WMでは、この作品の一部を無料公開している。

【無料公開】『前だけを見る力』松本光平の原点 第2章「15歳での禁断の移籍」より<1/2>

 また、会員向けの解説はこちら。

避けてきた「選手もの」にあえてトライした理由 構成者が語る松本光平著『前だけを見る力』解説

 不慮の事故によって、右目は失明状態、左目も極端に視力が落ちてしまった、松本光平。しかも国外(ニュージーランド)で世界中がパンデミックの恐怖に覆われていた、20205月のことであった。最後にプレーした公式戦は、この年の315日に行われたタスマン・ユナイテッド戦。その後、ニュージーランドの国内リーグは、コロナ禍により長い中断期間に入る。そして公式戦復帰が今年の85日だから、実に33カ月ぶりにピッチに戻ったこととなる。

 今月からスタートした「長いあとがき」の第2回。そのイントロダクションに松本光平を登場させたのは、この人との出会いがなければ、今回の書籍は生まれなかったと考えるからだ。どういうことか?

 実は12月の新著は、前作『前だけを見る力』のリベンジという位置付けとなっているのである。

(残り 4391文字/全文: 5146文字)

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