宇都宮徹壱ウェブマガジン

もし日本で女子ワールドカップが開催されていたら 大成功に終わったからこそ考えたい「別の可能性」

 スペインの優勝で820日に幕を閉じた、FIFA女子ワールドカップ2023。現地で観戦した人はもちろん、NHKFIFA+で観戦した人たちにとっても、非常に満足度の高い大会だったのではないだろうか。

 なでしこジャパンは、2大会ぶりにベスト8に進出(もうひとつ上に進んでほしかったが)。過去の女王たちが、すべて準決勝までに姿を消し、新勢力の台頭が目立ったこと。スポーツの序列でサッカーはナンバーワンではないという、開催国のオーストリアとニュージーランドが大いに盛り上がったこと。そして女子サッカーという、競技そのものの価値が高まったこと。

 決勝の入場者数は75594人で過去最多。今大会の総入場者数は1978274人で、64試合で割ると1試合平均で3910人となった。FIFA+をはじめとする、大会期間中のFIFAのデジタル・プラットフォームは、総計5000万アクセスを記録。これは前回のフランス大会から130%アップであった。

 今後、さまざまな総括がなされるだろうが、現時点では「大成功」と言い切ってよいだろう。ここで、私はふと考えてしまう。「もしも今大会の開催国が日本だったら、これほどの成功を収めていただろうか」──と。

 すでに忘れている方もいるだろうが、日本は今大会の開催国に立候補していたものの、決選投票の直前に辞退。開催国候補は、コロンビアとオーストラリア/ニュージーランドに絞られ、2020625日の投票の結果、第9回大会は女子ワールドカップ初の共催となった。

 それではなぜ、日本は辞退したのだろうか?

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