【無料公開】2002年ワールドカップから20年後の横浜で ヨコハマ・フットボール映画祭2022<1/2>
今週は6月4日と5日、JR東神奈川駅近くの「かなっくホール」にて開催される、ヨコハマ・フットボール映画祭(YFFF)2022にフォーカス。今年の上映作品を紹介していただくのは、実行委員長の福島成人さん(右)、そして若手スタッフ代表の佐藤鉄舟さんである。
YFFFといえば、いつもはシーズンオフの1月から2月の開催だが、今年は6月。6月の横浜といえば、今からちょうど20年前の2002年、ブラジルとドイツによるワールドカップ決勝が行われた。そんなわけで今年のポスターも、大会得点王(ロナウド)と最優秀選手(オリバー・カーン)の対峙が描かれている。
今回、上映されるのは8作品。それぞれの作品を楽しむだけでなく、多彩なゲストを招いてのトークイベントや物販、サッカー仲間との語らいもまたYFFFの魅力である。私も当日は「徹壱堂」で店番をしている予定。いつもと季節感は異なるものの、ぜひ会場でお会いしましょう!(取材日:2022年5月12日@東京)
<1/2>目次
*今年は6月のインターナショナルマッチウィークに開催
*YFFF初となる「実況アナウンサーになりたい男の物語」
*ダスラー兄弟が袂を分かつ理由となったベルリン五輪
■今年は6月のインターナショナルマッチウィークに開催
──福島さん、佐藤さん、今日はよろしくお願いします。前回の加藤麟太郎さんにつづいて、今回も若いスタッフに同席していただきました。お若いのに「鉄舟」という渋い名前がいいですね!
佐藤 お察しのとおり、幕末に活躍した山岡鉄舟に因んでいます。現在は映画専門のリサーチ会社で働きながら、3年前からYFFFの作品選定や舞台運営に関わっています。
福島 今は佐藤くんのような若いスタッフも含めて40人ぐらいが実行委員会に入っています。
──なるほど。ところでYFFFは、去年の秋にも開催したので、今回は非常にインターバルが短いですね。まずはその理由からお願いできますでしょうか?
福島 YFFFは2011年にスタートしましたが、ずっとJリーグの開幕直前、つまり1月の末から2月初旬くらいに定期的に開催していました。前回は2月に緊急事態宣言が神奈川県にも出ていたために10月に延期となったんです。そして今回なんですが、2月に戻すのも難しいということで、今年は6月のインターナショナルマッチウィークに開催することとなりました。
──いつもは寒い時期の開催で、大雪が降ったこともありましたが、今年は半袖で楽しむ初めての映画祭ということになりますね。
福島 加えて言えば、2002年のワールドカップ開催が6月でした。その決勝の舞台となった横浜で、大会から20年という節目に行われるフットボールの映画祭、ということで今回はアピールしたいと考えています。
──それで今回のポスターは、ドイツとブラジルによるファイナルが描かれているんですね? ドイツのオリバー・カーン。ブラジルのロナウド、カフーやロナウジーニョもいます。
福島 そして主審は、イタリア人のピエルルイジ・コッリーナさんです。
──ホントだ(笑)! そんなわけでさっそく、今年のYFFFで上映される8作品を一気に紹介していきたいと思います。1本目は『ペルーの叫び~36年ぶりW杯出場の表と裏~』。ペルー映画というのは珍しいというか、初めてじゃないですか?
©Identidad 2019
福島 YFFFでは初めてですね。『ペルーの叫び』は、いろいろあって最後に上映が決まりました。ロシア大会のペルー代表のように、まさに滑り込みでしたね。
佐藤 この作品の原題は『IDENTIDAD』といって、アイデンティティのことですね。36年ぶりにワールドカップ出場を決めたペルー代表を通して、それまで自分たちの国や歴史に誇りを持てなかったペルーの人たちが、ペルー人としてのアイデンティティをポジティブに捉える過程が描かれています。そこの部分が、個人的にはものすごく熱くなれるポイントでした。
──4年前のロシア大会では、びっくりするくらい多くのペルーのサポーターが赤の広場を訪れていたことを思い出します。32年ぶりというと、テオフィロ・クビジャスが活躍した1982年のスペイン大会以来ですから、国民的な盛り上がりを見せるのは当然ですよね。福島さんの感想はいかがですか?
福島 ペルーのサポーターは、その年の FIFAアワードでファンアワードを取っています。遠くロシアまで足を運び、民族衣装を身に付けて、大会を大いに盛り上げていましたよね。今年はワールドカップイヤーですので、彼らが大会にもたらした熱気というものを、あらためて思い出していただければと思います。