宇都宮徹壱ウェブマガジン

【無料記事】献本御礼『世界王者ドイツの育成メソッドに学ぶ サッカー年代別トレーニングの教科書』中野吉之伴(著)

 自分の書籍の執筆に没頭していたので、またしてもご無沙汰してしまった当コーナー。ご献本いただいた皆さん、本当に申し訳ありません。今後も時間を見つけては、当コーナーにて粛々と紹介させていただく所存です。

 さて本書。著者はドイツはフライブルクを拠点に、指導者(UEFAライセンスAを取得)兼ジャーナリストとして活躍する中野吉之伴さん。以前ご紹介した中野さん監修の『サッカードイツ流 タテの突破力』読みどころの多い作品だったが、本書は中野さんがドイツで経験したことと、そこで培ってきた思考が、より体系的に再現されているように感じられる。

「キッズ、U-9U-12U-15対応」とあるように、各年代に応じた練習メニューが図解と文章でわかりやすく紹介されている。横書きによるトレーニング・メソッドのパートは全体の4割ちょっと。残り6割弱は縦書きで、ドイツが2000年代初頭の低迷期から14年のワールドカップで「世界王者」となるまでのプロセスに沿いながら、時にグラスルーツでのエピソードを交えつつ、時に指導者講習での学びをフィードバックさせつつ描かれている。まさに「血の通った」教科書であると言えよう。

 最近のサッカー本としては、少しばかり強気の値段設定に感じるかもしれないが、育成年代の指導者(およびサッカー少年の保護者)には十分に納得できる内容だと思う。指導者ではない私も、この15年における日本の育成の現状と重ねながら読んでみると、非常に腑に落ちるところが多かった。定価2000円+税。

【オススメ度】☆☆☆★★

「今度ドイツを訪れるときは、ぜひフライブルクにも立ち寄りたいと思います」

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