サッカーを見せるよりも選手の内面を描きたかった 映画『U-31』 綱本将也(原作)&谷健二(監督)インタビュー<2/2>
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■実はキャストはサッカー経験なし?
――今回のキャスティングですが、大杉漣さんや勝村(政信)さん、平畠(啓史)さんといったサッカーファンにはお馴染みの顔ぶれがそろっています。これは谷さんのこだわりでしょうか?
谷 そうです。大杉さんと勝村さんと平畠さんは、ぜひご一緒したいと思っていました。専門誌の編集長役には、他の役者さんという意見もあったんですが、僕は平畠さんでいきたいって言って。
綱本 すごくいい味を出していましたよね。
谷 で、主人公役の馬場良馬さんとライバル役の中村優一さんを含めた選手4人は、前の作品で一緒に仕事をしていたこともあって、信用できる役者さんを集めました。谷村美月さんについては、ネットでサッカーが好きみたいなことが書かれてあり、「ダメもと」でオファーしてみました。
――馬場さんをはじめ、選手役のみなさんはサッカー経験者ですか?
谷 実はサッカー経験がないんですよね。
――え、そうなんですか?! 試合のシーンはないとはいえ、練習シーンがあったわけじゃないですか。
谷 そうなんですよ。ですから僕も最初は心配していたんですけど。実は撮影前に流経(流通経済大学)のサッカー部にお願いして、練習させてもらったりしていたんです。彼らは特撮のドラマに出演していて、運動神経はいいから何となくそれなりのプレーはできるようにはなったんです。ただし、やっぱりシュートは厳しかったですね。
――いきなり力強いシュートが打てるかというと、そりゃあ厳しいですよね。
谷 たまたま流経に馬場さんに体型が似ている子がいたので、シュートシーンは彼に蹴ってもらって、それをうまく編集でつなぎました。
綱本 観ている分には違和感はなかったですよ(笑)。
――主人公役にサッカー経験のない馬場さんを起用した一番の理由は何ですか?
谷 前作で一緒に仕事をしたというのもあるんですが、彼の年齢がちょうど31歳なんですよね。30代のサッカー選手をうまく演じ切れるんじゃないかと思いました。
――つまりサッカーの技術よりも内面を重視したと。
谷 ええ。サッカーを見せるよりも、どちらかというと選手の内面を描く映画なので。逆に、サッカー経験者を集めたところで、必ずしもプロっぽく見えるわけでもないですから、そこに対してのこだわりはなかったです。
――逆にユニフォームを来ていないシーンでは、いかにサッカー選手らしく見せるかで苦労があったのではないでしょうか?
谷 実は役者さんとサッカー選手はすごく似ていて、単純にかっこいいんですよね。僕もプライベートで何度かサッカー選手に会ったことがあるんですが、立ち居振る舞いが普通の若者とは違うし、話す言葉にも自信があふれている。今回の作品でも、役者の輝きとサッカー選手の輝きがリンクしていたので、そこはうまく表現することができたと思います。
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