中野吉之伴フッスバルラボ

【ゆきラボ】大麻合法化から半月、ハーム・リダクションとかつてのコロナ対策を結びつけて考えたこと

こんにちは!ドイツの日常コラム「ゆきラボ」、本日はまず前回の続きから。

「4月になって大麻が解禁されたら、駅のそばとか公園とかで大麻を売ってる人が本当にいなくなったって聞いたよ。やっぱり取り締まりが厳しくなってるんだね」
と長男が教えてくれました。駅の近くや構内、公園や、時には校庭など、普通の生活空間であっても、遅い時間帯になると、どこからともなく売人が現れてゴソゴソと取引をしていたり、大麻を吸ったりしているらしい…と言われているエリアがあります。物騒なので、もちろん暗くなったらそんな場所には決して行かないよう、子どもたちに厳重に伝えてはいますが、特に治安が悪いわけではないフライブルクという街であっても、日中と夜間とでは急に表情が変わる場所はあるんですよね。たとえそれが公園や学校であっても。

大麻の合法化が始まってすぐに、地元の広報紙に大麻禁止エリアのマップが載り、さっき挙げたような駅周辺や公園やスポーツ・教育施設の周辺では大麻の使用が禁止されました。家の近所やバス・路面電車の停留所なども含めて、私たちの通勤・通学に関わる大半のエリアは禁止区域に。認可を受けていない場所での売買も、未成年者に大麻を売ることも、これまで以上に厳罰化されました。合法化すると同時に、大麻が使える範囲を厳格にゾーニングして、使用者とそれ以外がしっかり分けられたことになります。結果、日常で目に入ってくる範囲からは今のところ大麻が姿を消したように見えます。前回書いた「ハーム・リダクション」、まずは功を奏したと言えるのではないでしょうか。

ドイツの駅や公園(特に都市圏)は、夕暮れ時を境にがらりと雰囲気が変わる場所がたくさんあります。日本で夜の駅というと、特に都市部では、駅ビルがあり、構内にはコンビニやファミレスなど終夜営業の店も並んでいるところもたくさんありますよね。一方、ドイツの駅やその周辺は、夜になると店も閉まり、代わりに駅構内や通路にたむろする人たちが増えたりしますので、ドイツに旅行に来られる方は充分ご注意ください。旅程上やむを得ないこともあるかもしれませんが、深夜の駅の利用は治安の面からはあまりおすすめしません。夜は早めに滞在先に到着されるのがベターです。

さて、このハーム・リダクション的な考え方、ドラッグだけではなくドイツ社会のいろいろなところでもこれに類する考え方があるように思うので、後半に続けます。

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