中野吉之伴フッスバルラボ

【ゆきラボ】雨ニモマケズ風ニモマケズ。ドイツの人はとにかく外に出たい

こんにちは。ドイツの日常コラム・ゆきラボです。ここ数日、フライブルクではどんよりとした雨の日が続いています。今週末には夏時間から冬時間への切り替えもあり、日が短くなっていくこと、冬が近づいてきていることを嫌でも実感する時期です。

鉛色の空ばかり続く中、「毎日毎日天気悪いねえ」とつぶやくと、次男に「ママ、ドイツでそういうこと言うとさあ、“Menschen bestehen nicht aus zucker”って言われるよ」と言われてしまいました。実はこんなお天気の日には、ドイツでは定番の返し文句があるのだそうです。

1つ目は「人間は砂糖でできていない “Menschen bestehen nicht aus zucker”」
濡れたら溶ける砂糖菓子ではないのだから、雨の日に外に出たって構わないじゃないか、という意味です。

2つ目は「悪い天気などない。服装が悪いんだ“Es gibt kein schlechtes Wetter, nur schlechte Kleidung”」こちらのほうがより有名らしく、ググるとたくさんのミームが出てきます。雨で肌寒い日に適した服装はいくらでもあるのだから、天候に合わせた服装をして外出すれば問題ないだろう、という意味です。

どんな天気でも「外に出ること」「外気に触れること」を大切にするドイツのお国柄がものすごくよく表れたフレーズだと思うのですが、いかがでしょうか。ちなみにこの「外に出る」にはたいていの場合、散歩がセットになってきます。特にこれからの季節は日照時間がどんどん短くなっていくので、心身の健康のためにはどんな天気でも必ず外に出て体を動かすべし!という考えが、ドイツの暮らしの中には強く強く根付いています。ドイツ生活が来年で20年(!)になる私も、気づけば家族に「今日は外に行った?ちゃんと散歩した?」と声をかけるのが習慣化しています。

ドイツ生活に欠かせない散歩。非常時でも「とりあえず散歩」の習慣は健在。

日本とドイツの両方にルーツを持つエッセイストのサンドラ・ヘフェリンさんが『ドイツの女性はヒールを履かない』という本を出していますが、雨の日も雪の日も散歩に出かける習慣があり、かつ、石畳や路面電車の線路などで都市部でもけっこうデコボコが激しいドイツでは、華奢なヒールの靴は全然実用的ではありません。そう、ドイツの人たちはこの「実用」ということを本当に重んじます。職業にもよるのでしょうが、これこれこういう場面ではヒールを履くべし、という圧力も特にないので、履きたい人が履けるときに履けばいいよねーという感じです。それより、やはり足に合っているか、長時間立ったり歩いたりしても疲れにくいかという実用面のほうが大事なんですよね。

天気に関わらず外に出ろ!体を動かせ!という信念は教育現場でも徹底しています。コラム後半はその話題を続けたいと思います。

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