中野吉之伴フッスバルラボ

【現地取材】フェイエノールトで感銘を受けたファンが作り出す臨場感のすばらしさ

▼ クラブやスタジアムによって違う《熱狂さ》

カツ、カツ、カツ。

靴音を鳴らしながら階段をゆっくりと上っていく。一瞬視界が光で遮られた後、5万人以上のファンで埋め尽くされたスタジアムの風景が飛び込んできた。

初めて足を運んだオランダ・フェイエノールトの本拠は、サッカーの魅力を体中で感じられる素晴らしいところだ。ピッチまでの近さ、試合前からうねりをあげるようなファンの歌声と声援。

熱狂的なファンというのはどこにでもいるし、《熱狂ぐあい》もそれぞれだ。ドイツでいえばシャルケやドルトムントの熱さは有名だろうし、強烈さでいえばザンクトパウリだってすごい。怖さを感じさせるところまでの熱狂さだったら、ドレスデンやコットブスというのも外せない。あるいは僕が愛するフライブルクは暖かさと奥ゆかしさがある熱狂で選手を支えるクラブだ。

バイエルンが誇るアリアンツアレーナは7万5千人収容のとてもきれいなスタジアムで、どんな試合でも満員になる。でもどんな試合でも熱を感じるわけではない。有名なクラブになればなるほど、世界中からファンが集まるし、そこにはそれぞれの温度差がある。それこそCL準々決勝やリーグでも優勝の行方をかけた上位争いみたいなケースではない限り、ピリピリとした緊張感は漂いにくい。

良くも悪くも「勝って当たり前」と思ってファンも見に来ているし、負けたところで「まあでも、アリアンツアレーナで試合がみれたから満足」という感じで帰路につく人も正直少なくはない。

これも王者ゆえのことなのだろう。

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