中野吉之伴フッスバルラボ

【きちルポ】横行する青田刈りに少年を狙う代理人。自分で登っていける階段、下がってこれる階段を作ろうではないか。

▼ 若年層から代理人が付くことの危険性

ヨーロッパにおけるサッカーのステータスは極めて高く、それはポジティブにも、そしてネガティブにも大きく作用する。

大きなお金が止まることなく動き続けていくので、ビジネスチャンスを狙う人が後を絶たない。育成がどんどんプロフェッショナル化されてきたことでより早い段階で成熟する選手が増えるという流れを生み、16-18歳でプロデビューする選手もどんどん出てくる。

それ時代が悪いことなのではないが、ただトップチームでプレーする成人だけではなく、まだ育成段階の選手と代理人契約を結び、甘い蜜をすすろうとする大人が増えているのは懸念を通り越して、問題でしかない。

育成の成功が、代理人によるメガクラブからの青田刈り傾向をさらに高める要因となってしまっている。代理人は将来有望の卵の、またさらに卵を狙って動いており、ブンデスリーガの育成機関で働く知人の話では、12-13歳の子供に代理人が付くことも普通にあるという。

「私が君を、あなたの息子をプロ選手へといざなってあげる」

そんな甘い言葉を巧みに操りながら、裏で仲介手数料欲しさに怪しい交渉をしようとする代理人は残念ながら存在する。誰もがまっとうな代理人としての資格と資質を持っているわけではない。

だが、「ひょっとしたら僕が、私が、うちの子が…」という夢を刺激されたら、危ういとわかっていながらついそんな言葉に耳を傾えてしまうかもしれない。「罠じゃないかもしれない」と思い込むことで。

ヘルタ・ベルリン元育成部長のフランク・フォーゲルは警鐘を鳴らしていた。

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