中野吉之伴フッスバルラボ

【きちルポ】プロサッカー選手ってどうなるの?育成年代でサッカーだけをやることが大事なの?

▼ プロサッカー選手へのルートって?

サッカースタジアムの雰囲気はいつでも格別だ。みんながみんなそれぞれの思いを抱えて集まってくる。特にキックオフ前にスタジアムDJがスターティングメンバーを発表するシーンは、緊張感と期待が一気に膨れ上がる瞬間。

ざわついていたスタジアムが一つになり、選手の名前を大声で叫び、自分たちの気持ちをぶつけていく。ボルテージが最高潮になった観衆の前に颯爽と姿を現した選手は、華麗に勇敢にピッチ上でプレーをする。サッカー大好きな子どもたちだったら誰もが、その劇場の主役となれる姿を夢見ることだろう。

では彼らはどのようにプロ選手となったのだろう。そこへたどりつくためにはどんな道や方法があるのだろう?

今回は僕が生活するドイツでの様子を紹介しながら、プロ選手とはどのような存在なのか、プロになる選手とは何が重要視されているのか、プロ選手になるためだけにサッカーをすべきかについて考えてみたいと思う。

一言でプロ選手へのルートと言っても、「この道を行けば大丈夫!」という絶対的な王道があるわけではない。一番イメージしやすいのはプロクラブの育成機関に入り、そこから毎年上の学年に昇格し、成長し、首脳陣から評価されて、トップチームデビューを飾るというルートだろうか。

バイエルン・ミュンヘンでいまなおトッププレーヤーとして君臨するドイツ代表MFトーマス・ミュラーは、小さい時からバイエルン一筋で、各世代別代表で主力として活躍し、世界トップクラスのクラブにおいて18歳でプロデビューという華々しいエリート街道を歩いてきた選手だ。

でも、誰もが彼は必ずプロデビューができると信じていたわけではない。バイエルン内部でもその意見は分かれていたという。セカンドチームでプレーしていた時に、当時トップチームだったルイス・ファン・ハール監督にその資質を認められ、「ミュラーはいつでもプレーする」と出場機会を保障されるほど重宝された。ちなみに当時、同じようにミュラーの資質にほれ込み、獲得を画策していた智将がいた。

それがラルフ・ラングニックだ。

(残り 2294文字/全文: 3159文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

1 2
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ