中野吉之伴フッスバルラボ

【ゆきラボ】子どもの1人行動の話・追記/後半は子どものお小遣いの話

こんにちは!今週のゆきラボは前回の続きから始めます。

【ゆきラボ】何をどこまで?何歳から?子どもの1人行動を考える

先週は、埼玉県の児童虐待条例改正案が撤回されたニュースから、ドイツでの子どもの1人行動について書きました。記事をアップした後で、日本での報道や、各メディアの報じ方などを改めてさかのぼり、詳しく見ていったのですが、気になった点がいくつかあります。

まず、案の定というかなんというか、この改正案を提出した自民党の埼玉県議団男性ばっかりなんですよね。女性議員が3人しかいない。それから、子育ての当事者である保護者や子どもたち本人の実態調査やヒアリングを行った形跡もありません。児童の発達や健康や安全に関わる分野には、本来様々な専門家がいるはずですが、そうした専門家の知見を取り入れて作成された様子もありません。

イメージ https://www.photo-ac.com/

突っ込みたいところはいろいろあるのですが、何より私が気になるのは、「この条例改正案を作った人たちは、子どもをどういう存在だと見なしているんだろう」ということです。児童文学作家・翻訳家である石井桃子さんの

子どもたちよ
子ども時代を しっかりと
楽しんでください。
おとなになってから
老人になってから
あなたを支えてくれるのは
子ども時代の「あなた」です。

という言葉がよく知られていますが、子どもってずっと子どものままではなくて、いつか大人になるんです。子どもから少しずつ少しずついろんなステップを踏んで大人になるんです。ものすごく当たり前のことをいうようですが、この条例改正案を作った人たちの頭の中に、果たしてその当たり前のことがあったのかどうか、正直疑問です。いつか自立して大人になる存在としての子どもとその保護者を、こんなガチガチのルールの中に押し込めるって本当にどうなのかと。

もう一つ、ものすごく当たり前の大前提を書きますが、痛ましい子どもの事故を無くしたい、せめて1件でも減らしたいし予防したいという点には心から同意するのみです。ただ、そのための手段として、本来は少しずつ自立して行動できるようになる過程の子どもを、個々の成熟度や環境を無視して、一律に「放置してはならない」と定めるのが適切だとは思えません。さらに「放置に気づいたら通報義務」という相互監視の状況を作り出してしまうのも、子どもたち本人にも、子どもと暮らす大人たちにも、社会全体にも本当に悪影響だと思うのです。反対の署名をした多くの人たち同様、私も改正案の撤回に心からほっとしています。

後半は子どもの自立に関連して、子どものお小遣いの話です。

(残り 2411文字/全文: 3523文字)

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