中野吉之伴フッスバルラボ

【きちルポ】これからの時代にスポーツクラブが求められる理由。自分達だからできることを探す旅に出よう

▼ ドイツのスポーツクラブも様々な問題と直面

日本も、ドイツも、おそらく世界のあらゆるところで、スポーツクラブは様々な問題や課題と向き合い続けている。

SVホッホドルフもそうだ。スポーツはサッカーだけではない。フライブルクやその近郊にはテニスも、バスケットボールも、ハンドボールも、水泳も、ラグビーも、野球も、ロッククライミングをできる場所もある。

加えて、世代というか時代の流れもあり、最近は「ガツガツ運動に関わりたい!」というよりも、少しのんびりしたがりな子どもが増えてきている傾向が観察されている。それこそスマートフォン片手にコミュニケーションをとったりすることを楽しいと感じている子、そもそものところで体を動かすことを心地良いと感じていない、思いっきり体を動かすことの楽しさ・爽快さを知らない子が増えてきてしまっている。

サッカークラブに所属している子どもたちの中でも、試合であったり、練習内で競争があると、負けることを極端に嫌がる子が出てきているという。

ドイツにおいて学校のあり方も少しずつ変わってきている。以前だと学校の授業が午前いっぱいで終わることが多く、子供たちはお昼に家に帰って、お昼ご飯を食べて、宿題を少ししたら、午後はまるっと遊んだり、スポーツクラブや音楽教室といったところで活動するのが当たり前だった。

だが、昨今は共働きの親が増えてきている社会的背景もある中で、学校は午前だけではなく、16時や17時まで子供たちを預かり、面倒を見ますよという形に変わってきている。

そうすることで親は安心して働くことができる。大切なサポート。一方で、子供たちの生活環境は間違いなくガラッと変わってきている。学校から帰ってちょっと休んだらもう夕方だ。冬場だったら外は真っ暗。そこから再度家を出て、スポーツをしようとする子がどれぐらいいるのか。そのまま家で休んで、家族でご飯を食べて、翌日の学校の準備をして、寝て、というサイクルを選ぶ子供や家庭がいても不思議ではない。

都市の規模や環境、地域性や両親の考え方などで、子どもとスポーツ、学校との関わり方は本当に様々だろう。いずれにしても、こうした現状といま、そしてこれからのスポーツクラブと指導者は真摯に向き合わなければならないのだ。

「これまではこれで上手くいったから」という理屈はもはや通用しない。

では、《だからすべてをネガティブに解釈せざるをえないのか》というとそんなことではない。むしろ逆にチャンスも多いと捉えることができるのではないだろうか。

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