【フッスバルコラム】ドイツ代表W杯敗退の要因となった問題は9月の時点ではっきりしていた。チームに漂っていた暗雲

※フットボリスタより転載+加筆修正
日本、スペイン、コスタリカとの3試合でカタールW杯を終えることになったドイツ代表。
大会後、ドイツ国内では様々な要因がディスカッションされているが、そもそもW杯前最後の代表週間となった9月の段階でかなり不安視されていた問題に対して、最後まで解決する糸口を見つけることができなかった点を指摘せざるをえない。
このコラムは9月に行われたハンガリー代表とイングランド代表とのUEFAネーションズリーグ2連戦後に書いたものだ。
W杯が終わった今改めて読み直してみると、なるほど、日本、スペイン、コスタリカとのグループリーグ3試合でドイツが克服することができなかった課題が少なからず浮かび上がってくる。
▼ ドイツ敗退の予兆は9月の段階であった?
スッキリ勝利して気持ち良くW杯を迎えたいところだったドイツ代表だが、ハンガリー戦も、イングランド戦も、どちらも不安定なパフォーマンスに終始。ドイツメディアやファンはかなりの不安を抱えているのが現状だ。
「これまでで最悪の45分間」
特に監督のハンジ・フリックがそう厳しい顔で振り返ったのが、ハンガリーとの前半だった。試合前、3万9513人チケット完売となったライプツィヒ・セントラルスタジアムの雰囲気はかなり良かった。W杯へ向けて盛り上がろうとしているファンの熱を感じさせる。
だが、試合開始直後からハンガリーのパワープレーで自陣に押し込まれると、まったくリズムを作ることができない。
その理由はどこにあったのか。試合後のミックスゾーンで要因を地元記者に問われたMFヨシュア・キミッヒは、しばらく考えてから次のように話していた。
キミッヒ「負のスパイラルに巻き込まれたという側面はあったのかなと思う。試合への入りは良くなかった。ハンガリーボールでキックオフしてすぐにロングボールを蹴り込まれて、そのあと立て続けに向こうのスローインとCKが続いた。
最初の5分、自陣ペナルティエリア付近でプレーせざるを得ない中で、ミスが続いて。落ち着きがないなか試合が進んで0-1。うまく流れを変えることができず、前半は自分たちでギアを入れ替えることができなかった」
そうかもしれないが、いくら立ち上がりから相手に押されたからといって、あそこまでミスが続くのは普通ではない。それぞれがバラバラにプレーしているようにしか思えないくらいに酷かった。パスの出し手と受け手の呼吸がずれまくるし、相手守備が網を張っているところに不用意な縦パスを送ってはボールロストを繰り返す……。
フリック監督は自身の采配ミスを原因の1つに挙げていた。ハンガリー戦では右SBに本職は攻撃的MFのヨナス・ホフマンを、左SBに攻撃的なSBダビド・ラウムを同時起用。両サイドから相手をどんどん追い込んでいくことをイメージしていたはずだが、逆に両サイドともに守備での不安定さが目立つ結果となってしまう。
フリック「今日はヨナス・ホフマンを右SBでスタメン起用して、両サイドにオフェンシブなSBを置く布陣を試してみた。ただ、これまでトレーニングで積み重ねてきた流れというのをピッチで出すことができなかった。うまく試合に入ることができなかった理由の1つだとは思う」
そうかもしれないが、だからといってボールをもらう動きもなければ、ボールを動かして相手を揺さぶるプレーもないことの説明にはならない。正直両SBが誰であっても、この日のドイツでは大きなプラスになったりはしなかっただろう。
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