中野吉之伴フッスバルラボ

【育成論】何のためのフニーニョなのか?見逃さないでほしいこと。


▼ フニーニョの本質とは何かを考えてみた

フニーニョってなんだ?

みなさんはこう尋ねられたらどう答える?

「フニーニョ?たしか3対3でGKなし。ミニゴール4つでゲーム。シュートゾーンがあって、そこからしかゴールを決められない。サイズは30m×25mくらいだったかな」

その通り。人数、ゴール数、シュートゾーンルール、サイズ、設定に関してあっている。厳密にいうと現在オフィシャルに発表されているフニーニョの試合形式は以下のようになる。

①3号球を使用
子どもの成長段階を考えると、4号球でも大きすぎる。大きいボールを使うと力のない子、体の使い方に慣れていない子は圧倒的に不利になる。

②ゴールはミニゴールを2つずつ
どちらも狙える。自然と両方のゴールを観察するようになる。GKはなし。

③3対3
2つのゴールに対するバランスがとりやすい。4人だと、2:2で左右や攻守に分かれてしまいがち。でも、3人だとそれぞれがFW、MF、DFの役割を担わないといけなくなる。

④シュートゾーンの設置
ゴール前に運ぶドリブルやパスが必要となり、ゴールに向けての動きが活発になる。

⑤スローイン禁止
ボールがラインから外に出た場合はドリブルかパスかを選べる。ファウルスローで細かく指摘されることがなく、パスが出せなくてジッとする必要もなくなる。

⑥ローテーションの導入
どちらかのチームがゴールを決めたらそれぞれ選手交代。1人ずつの交代でもいいし、2人交代してもいい。人数に応じて柔軟に対応できる。控え選手は最大2人。

⑦ピッチ外からのコメントはNG!
ピッチ外から叫ぶ指導者は必要ない。不必要にプレッシャーをかける保護者もいらない。子どもたちは、1日の流れがわかれば自分たちで全部できる。大人は問題が生じたときだけ顔を出せばいい。

⑧サイズは28x22m
広すぎず、狭すぎず。全員がゲームに関われるサイズを目指す。

「なるほどね。でもそのやり方、練習で前から知ってるし、うちらはやってるよ」

そういう指導者も多い。先日、日本に一時帰国した際に、茨城県桜川市と和歌山県和歌山市でそれぞれフニーニョ体験クリニックを行ったが、こうした試合形式への質問が多かったのは事実。そして「ああ、それなら私がやっているやりかたと一緒だ」とか、「僕がどこかで読んだ話と違うな」という答え合わせをされる。確かに内容的には昔からあるものだし、ルール設定としてもそこまで真新しいものではない。

”だから”「知ってるよ」と言う。

ただ、そうではないのだ。フニーニョとはその試合形式があっているかどうかが大事なのではない。そのルール通りにやればいいわけではない。何を目的とし、なぜ生まれ、どのような哲学のもとで発展し、どのように取り組むことが求められているかを理解することが非常に重要だ。

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