無料:UEFA Nations League決勝のスペイン×フランス戦の80分のエムバペのゴールは今後オフサイドになる【レフェリーブリーフィングレポート中編】
日本サッカー協会(JFA)が「国際サッカー評議会(IFAB)回状26号(オフサイドの解釈)ついてのレフェリーブリーフィング」をオンラインにて開催した。「意図的なプレー」と「ディフレクション(ボールが競技者にあたり方向が変わる、すなわち意図的なプレーではない)」の違いを東城穣Jリーグ審判デベロプメントシニアマネジャー(MG)が映像を交えて説明した。
これまでもオフサイドに関して「意図的なプレー」に関して注目を浴びた状況が多くあった。
たとえば、UEFA Nations League決勝のスペイン×フランス戦の80分のエムバペのゴールだ。
守備側競技者が動いてボールに触れた。
オフサイドポジションにいた相手競技者がそのボールを受けてプレーした。
主審は守備側競技者が動いてプレーしたことを「意図的にプレーした」と判断し、相手競技者をオフサイドとして罰しなかった。
このジャッジに対する世界中で起きた議論を受けてか、IFABはFIFAとの協議の上、「意図的なプレー」と「ディフレクション(ボールが競技者にあたり方向が変わる、すなわち意図的なプレーではない)」の違いを明確化するとともに、「意図的なプレー」と判断するためのガイドラインとして基準を示した。
ただし、今回の内容は競技規則の改正ではない。サッカーが求めることを反映されるよう、「意図的なプレー」と「ディフレクション」の違いを明確にしただけである。
2.オフサイドの反則
ボールが見方競技者によってプレーされたか触れられた瞬間にオフサイドポジションにいる競技者は、次のいずれかによってその時のプレーにかかわっている場合のみに罰せられる
(…)
・その位置にいることによって、次の場合に、ボールにプレーして利益を得る、または相手競技者を妨害する。
・ボールが、ゴールポスト、クロスバー、審判員もしくは相手競技者からはね返った、またはそれらに当たって方向が変わってきた。
(…)
オフサイドポジションにいる競技者は、相手競技者が意図的にプレーしたボールを受けたとき、意図的なハンドの反則を犯した場合も含め、利益を得ているとはみなされない。ただし、意図的なセーブからのボールを除く。
「意図的なプレー」*オフサイドではない
- 「意図的なプレー」とは、競技者がボールをコントロール下において、
・ボールを味方競技者にパスをする
・ボールを保持する
・ボールをクリアする(たとえば、ボールをけって、またはヘディングして)
競技者がコントロール下にあるボールをパスする、保持しようと試みる、または、クリアすることがうまくいかなかったり、失敗したりした場合であっても、ボールを「意図的にプレーした」という事実を無効にするものではない。
簡単に言えば、トラップミス、クリアミス、ヘディングのミスなどは意図的なプレーとなるということだ。
「意図的にプレーした」と判断する基準 *競技者がボールをコントロール下に置いている状況
- 結果的に「意図的にプレーした」と、判断する基準
①ボールが長く移動したので、競技者はボールをはっきりと見えた。
②ボールが早く動いていなかった。
③ボールが動いた方向が予想外ではなかった。
④競技者が身体の動きを整える時間があった、つまり、反射的に体を伸ばしたりジャンプせざるを得なかったということでもなく、または、かろうじてボールに触れたり、コントロールできたということではなかった。
⑤グランド上を動いているボールは、空中にあるボールに比べてプレーすることが容易である
□基準①~④について
主審が全て「YES」と判断すれば⇒意図的なプレー
主審が一つでも「NO」と判断すれば⇒意図的なプレーではない(ディフレクション)
□基準⑤⇒ボールの移動、速さ、動きの方向という状況に加えて、ボールが「グランド上」にあったのか、「空中」にあったのかも、「意図的にプレーした」かの判断の考慮点となる。
一方でディフレクションとなるのは、
たとえば、最終ラインの裏に抜けたロングパスを、ジャンピングアットのような恰好でクリアしようとして、かすかに触れたようなシーンや、
柏×セレッソ戦の5分のように、速いクロスをジャンプしてクリアしようとしたものの、ギリギリ頭に触れたかどうかといったシーンや、
https://www4.targma.jp/fbrj/2022/08/23/post12084/のシーンや、
味方選手が空振り、急に自らの目の前に来たボールに触れた予想外のシーンはディフレクションとなる。
「今回、IFABより示された「意図的なプレー」に関するガイドラインは、競技規則の改正ではなく、明確化として通達されたものであり、即時有効となる」としながらも、
「競技およびプレーの結果に影響を及ぼす内容であるため、競技者および審判員、そして競技に関わる人々が理解した上で「プレーする、レフェリングする、競技を支える/観る」ことが必要」
ということで、
各Jクラブの強化担当者、運営、審判員、そして我々メディアへのブリーフィングを経た、9月2日以降の試合から運用される。