石井紘人のFootball Referee Journal

無料:レフェリーブリーフィング後編①:鹿島アントラーズ戦で誤審が起きた理由、水戸×岡山戦佐藤誠和審判団と秋田×北九州戦塚田健太審判団のナイスジャッジ【審判批評】

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松本山雅FC×大分トリニータ戦の7分、バックラインの裏に抜けたボールをクリアしようと、ペナルティーエリア(PA)外に松本のゴールキーパー(GK)が飛び出す。しかし、目測を誤り、ボールが頭上を越えてしまい、大分の選手がボールをコントロールしようとしたため、それを防ごうとGKは足を出し、大分選手が倒れる。

上川徹日本サッカー協会(JFA)審判委員会副委員長「こういったことが起きるんです。レフェリーは、GKがボールをクリアすると考えていた。それもあって、スプリントが遅れ、争点に向かうのが遅れているんです。

なのでレフェリーは副審にサポートを求めました。

この状況は【得点の機会阻止】です。白の選手はボールをコントロールしています。で、ディフェンスはいません。プレーの方向も、直接ゴールではないですけど、ゴールの方向です。

そして、反則はPAの外で起きている。これがエリアの中で、ボールにプレーしようとした上での反則ならば警告です。ですが、エリアの外ですので退場になります。

この日は雨でした。副審は非常に良い所で見てはいるんですけど、このふくらはぎに接触したのがはっきりと分からなかった。白の選手が滑ってバランスを崩して倒れたと思ってしまった。ですが、映像で見ると、ふくらはぎにコンタクトしています。」

 

水戸ホーリーホック×ファジアーノ岡山:佐藤誠和審判団批評(参考記事:ゲキサカ紙「物議醸す“矛盾”疑惑のゴール」を画像検証

上川「6番と8番、このポジションですよね。皆さんのジャッジも分かれましたが、ゴール裏からの映像を見ると、ほぼ同一ライン上かなと。副審はとても良いポジションから判断しています。このように副審が正しいポジションで難しい見極めを判断しているのであれば、我々は副審の判定を支持します。

副審はオフサイドポジションではないと思って、フラッグを上げていません。ただ、そこのコミュニケーションをシンプルに伝えられず、再開までに4分かかってしまった。」

 

横浜Fマリノス×鹿島アントラーズ

上川「(鹿島アントラーズの土居の)肩が出ているように見えますが、ほぼ同一ライン上だと思います。副審は上半身でポジションを合わせていますが、あと一歩、寄っていれば。もちろん、メディアの皆様の35%がオフサイドと回答されたように難しい判定で、副審がオフサイドとしたのも分かります。副審はほぼ止まってみているので、自信を持ってあげていて、受け入れられるとおも思うのですが、映像で見るとオンサイドだと思います。」

 

ブラウブリッツ秋田×ギラヴァンツ北九州(参考記事:久富の決勝ゴールはナイスジャッジ【塚田健太審判団批評】

上川「これは11番の選手がオフサイドポジションにはいます。ただ、白の28番がボールに触れています。ここでコースが変わりますよね。これがポイントです。ディフェンスの意図的なプレーであれば、オフサイドではありません。

副審は28番がボールに触れているのは分からない。この映像だと分かりますが、副審は真横からの映像なので分からない。なので、11番がオフサイドポジションにいるのでフラッグを上げました。

レフェリーは28番のプレーを意図的なプレーだと判断しました。旗が上がったのをキャンセルしました。

我々はレフェリーの判断は正しいと考えています。

28番はパスが出た瞬間に一旦スピードが緩むのですが、パスが出た後にボールに対して動いています。動きのスピードを上げて、足を出してボールに触れています。ボールの方向は分かっていて、反射的に足を出した訳ではありません。レフェリーの判定は正しいと思います。」

 

―触らなければよかったということですよね。子供たちにも、ああいった場面では触るなと指導をしないといけない。

 

上川「オフサイドというのが分かっていれば、ですね。選手の気持ちも分かるのですが、競技的には、そのようになります。」

 

ベガルタ仙台×清水エスパルス戦の67分、ディフェンスラインの裏を狙った浮き球のクロスに石原が反応すると、ホールディングで倒される。

上川「これも難しい。レフェリーは最初、PKと判断しました。(ペナルティースポット付近で)白の選手が後ろから黄色の選手を倒したと判断しました。ですが、倒れた選手はオフサイドポジションです。なので、主審はPKではなく、オフサイドとしましたが、正しい判定です。

ただ、このボールがニアに向かって、白の選手の進路上になかったら、PKになります。オフサイドになりませんので。関係ない所でのホールディングでPKになるケースと同じです。」

 

東京ヴェルディ×アビスパ福岡戦の27分、ロングフィードに反応したドウグラスヴィエイラがアタッキングサードに入る手前でホールドしてきたディフェンスを振り切って抜け出す。そして、PA内に進入してシュートを放つが、堤の必死のディフェンスに遭い、得点には至らない

上川「これはイエローカードが必要ではないかと意見交換であがりました。このホールディングした場面で、相手が倒れていれば退場ですよね。グリーンの選手はタフにそのままプレーを続けたので、チャンスは継続していますし、レフェリーもそう考えてアドバンテージを適用します。そして、シュートまで持ち込みますが、追いついたディフェンスのアプローチもあってシュートは外れます。

では、映像を戻してください。このホールディングで、若干スピードは落ち、外にもドリブルのコースが膨らみます。ホールディングの影響でドリブルのスピードが落ち、ディフェンスも追いついた訳です。

ただ、アドバンテージをとり、次のプレーに完全に移っているので、ロールバックするのは出来ません。ただし、大きなチャンスを潰したとは考えられます。なので、警告を与えるべきだと思います。」

 

清水エスパルス×ジュビロ磐田(参考記事:ミッチェル・デュークも議論。退場となった清水エスパルス松原の乱暴な行為を誘発した?ジュビロ磐田高橋。カードの色は?【井上知大審判批評】

上川「これはいくつか考慮しなければいけないポイントがあります。レフェリーはオレンジの選手を退場にしました。水色の選手には警告を与えています。」

 

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