【サッカー観戦術/チームの約束事】「守備のスタートライン」とはどこですか?
【サッカー観戦術/チームの約束事】
■「守備のスタートライン」とはどこですか?
試合を見ていて、FWやMFなど前線の攻撃的な選手が、ボールを持っている相手選手にプレスに行きます。プレスに行くのには、選手の勝手な判断で行うのではありません。そこには「約束事」があるのです。FWの選手が約束事を無視して相手にプレスに行ってしまえば、後ろにいる選手がプレスに行った選手に連動して、次のプレスに行けばいいのですが、プレスに行かなかった場合、FWとDFの距離が開いて相手にスペースを与えてしまいます。
FWとDFの理想とする距離間は、40メートルだとされます。つまり、その40メートルの距離を保つためには、FWが前に進んだら、後ろの選手も前に進まないと両者の距離は開いてしまうことになります。そこで、どのタイミングで前線の選手が相手選手にプレスに行くのかを決めたのが「守備のスタートライン」になります。
「守備のスタートライン」とは、ボールを持っている相手選手が、どの位置に侵入してきたらプレスに行くのかを定めた守備のラインと言えます。たとえば、相手選手がセンターラインを超えてきたら、前線の選手がボールを奪いに行き、後方の選手も連動してブロックを保ちながらプレスに行きます。この場合、「約束事」は「ボールを持った相手がセンターラインを超えたら」になります。
守備をはじめるスタートラインが決まっていれば、後方の選手とのプレスが連動して、ボールを奪えなくてもパスコースを限定できます。パスコースが限定できれば、縦パスを入れられなくなり、簡単にピンチを招くことがなくなるのです。
守備のスタートラインでは2つの行為があります。
①「センターライン以下の場所でプレスをかけるのか」
②「センターラインを超えてプレスをかけに行くのか」
①の場合、相手のゴールから遠い場所での行為になるので、得点を奪うためには、何らかのアイデアが必要になります。
②に関しては、相手のゴール近くでの行為ですから、ボールを奪ったら一気に相手ゴールに迫れます。しかし、自分たちのDFとGKの距離が開くので、裏のスペースを提供してしまうのです。
試合を見ていて、FWなどの前線の選手のプレスに、後方のDFが連動して動いているのかを知れば、そのチームの「約束事」が守られているのどうかがわかります。