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「無料記事」【試合分析】「第12節 水戸対藤枝」水戸ホーリーホックの3失点に関する考察 

【試合分析】

「第12節 水戸対藤枝」水戸ホーリーホックの3失点に関する考察

Xでポストした文を整理して記します。

【水戸対藤枝1失点場面分析】

これから話すことは、相当に厳しい内容になります。現実に目の前で見たことを解説します。あまりにも本当のいことすぎて、おそらく、誰もここまで指摘しないでしょう。では、はじめます。水戸が同点にされた場面です。録画を見ながら解説を読むことをおすすめします。

後半7分の藤枝のゴール。フリーでクロスを上げた新井(6番)に対して誰もプレッシャーに行っていない。水戸は最終ライン4枚とMF4枚で2列のブロックを作っている。ゾーンで守るので、ブロックを崩せないんだけど誰かが新井にプレスにいかないとならない。

流れ的にはFWの安藤が追いかけてこないとならない。自分のエリアから外れたので、歩き始めていたんだけど、気付いて慌てて近づいていく。だが気付くのが遅すぎて新井はフリーでクロスを上げた。最も問題なのは、左SBの大崎の守備だ。近くにいる大曽根(13)に気付いていない。

完全にボールウォッチャーになっている。ボールしか見ていない。理想としては、ボールと近くにいる相手選手を同一視野に入れるポジショニングをしないといけない。おそらく、大曽根(13)の存在には気づいていない。ゾーンで守っているのだから、自分のエリアを守らないとならない。

そのためにも首を振って状況を把握しないとならない。しかし、まったくそうした仕草は見られない。藤枝が得点の前にバックパスをした場面があった。その時にラインを上げきれていない。大崎だけラインが深い。おそらく、CBのカバーを考えてのことだろうが、または怖くてラインを上げられなかったのか。

首を振って状況判断を見極めていれば、大曽根の存在が見えていれば、あと2歩左にポジショニンしていただろう。そうすれば、たとえクロスを上げられたとしても、ケアできたはずだ。

【水戸対藤枝2失点目の分析】

水戸はゾーンで守っている。最初はアンデルソン(11)を大崎が見ている。右タッチライン中央近くで大曽根がボールを持つと、水戸の新井がプレスに行く。そこで、新井に任せておけばいいのに、大崎がアンデルソンから突然離れて新井のプレスに参加する。

ここでアンデルソンはフリーになる。左CB山田がアンデルソンがくるだろうと考えてプレッシャーをかけにいく。これは正解だ。本来なら、右CBの牛澤のサポートに山田はいかないと行けないのだが、大崎が食いついて自分のポジションを空けたから山田がケアにいかないとならなくなった。

大曽根から矢村(9)にパスが渡ってそこからアンデルソンにスルーパスが通されてゴールになるのだが、牛澤が一歩遅れケアに入ったので矢村に体をぶつけられて飛ばされる。ここでポイントになるのは、大曽根から矢村にパスを出させたことだ。CHの長井が縦パスを切るポジショニングをするべき。

はっきり言って、これは「サボり」と言っていい。見てもらいたい。歩いているし。大崎が食いついて、いるべき場所にいないのだから、実質3バックになっている。状況としては3対3の同数。コーチングする余裕もないDF陣。もし、長井が状況を見極めて、大曽根と矢村の間に立っていたら、パスは出せない。

【水戸対藤枝3失点目の分析】

コーナーキックからの失点。アンデルソンの2得点。水戸は基本ゾーンで守っていて、キーマンには人がつく守備。GK春名が飛び出しやすいように、ニアとファーに1人づつを立たせる。ライン上に4人を置く。ストーンになっているのは、途中出場の落合。落合の立ち位置が悪い。

藤枝のキッカーはアウトスイングでGKを巻くようなキックを蹴るので、水戸のニアポスト上にポジショニングしていたらクリアできたボールだった。見てもらえばわかるように、キッカーによりすぎている。あるいは寺沼くらいの高さの選手ならばクリアできたのかもしれない。

スコーン役が本当にあの位置と人選でよかったのかどうか。アンデルソンのポジショニングの取り方は確かによかった。だが問題は、CKが蹴られた時、ほとんどの選手がボールウォッチャーになっている。まったく足が動いていない。「べた足」というのだが、静止してしまっている。

アンデルソンに体をぶつけるとか、そうしたアクションもない。厳しく言えば「人まかせの守備」と言える。ほんと、意識改革が必要で、監督の言っていることを選手が実行できないのか、監督が選手に伝えきれていないのか。その真相はわからないが、「J1昇格」を目指すチームの守備ではない。

〈了〉

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