川本梅花 フットボールタクティクス

【試合分析】守備の要 #伊藤槙人…「選手同士の距離間」と「マークの受け渡し」【無料記事】J2第15節 #愛媛FC 0○1 #水戸ホーリーホック #mitohollyhock #ehimefc

伊藤槙人が見せるリーダーシップ…守備の要に

目次
細川淳矢が緊急離脱…落ち着きを与えたのは
優れた「選手同士の距離間」と「マークの受け渡し」

2019明治安田生命J2リーグ第15節
愛媛FC 0○1 水戸ホーリーホック
http://www.mito-hollyhock.net/games/14062/

5月25日の土曜日、明治安田生命J2リーグ第15節、愛媛FC対水戸ホーリーホックがニンジニアスタジアムで行われた。

ホームの愛媛は、37歳の川井健太監督が指揮を執る。愛媛は「3-4-2-1」の3バックを採用。J2第14節・アルビレックス新潟戦で、2点ビハインドから3点を奪い、3-2の逆転勝利を収めている。長谷部茂利監督率いる水戸は、J2第14節終了時点でリーグ最少の総失点数5、鉄壁の守備を誇る。水戸のシステムはいつもの「4-4-2」で、中盤をボックス型にしている。両チームのシステムを組み合わせた図は、以下の通りだ。

細川淳矢が緊急離脱…落ち着きを与えたのは

水戸は、試合前のアップで細川淳矢が負傷離脱。動揺するチームに落ち着きを与えたのは、センターバック(CB)の伊藤槙人だった。今季になり、彼のリーダーシップは見るべきものがある。特に、伊藤の左右にポジショニングする2人へのコーチングは的確だった。今季初スタメンの右サイドバック(SB)の外山凌と、左CBのンドカ ボニフェイスに対しては、大きな声でプレスに行くタイミングや両手を広げてラインの上げ下げを指示している。

伊藤自身の考え方を知るには、以下を読んでもらいたい。

【インタビュー】再出発を誓って―伊藤槙人が“原点”を取り戻すために旅立つ―【無料記事】

外山の動きは、伊藤の指示によるところが大きい。外山は昨季、期限付き移籍先のブラウブリッツ秋田で経験を重ねてきたが、その時のインタビューも弊サイトに掲載されている。

【蔵出し取材メモ】#ブラウブリッツ秋田 へ期限付き移籍 #外山凌「試合に出ることで課題が浮き彫りになる」【インタビュー】J3第22節 #SC相模原 戦後のコメントより

外山はもともとウイングタイプ。SBへのコンバートは、西村卓朗強化部長のアイデアのようだ。右SBにはレギュラーの岸田翔平がいる。岸田は、高さとフィジカルの強さを持っている。対する外山は、スピードが売りだ。タイプの違うSBが2人いることは、チームにとって大きな力となる。

優れた「選手同士の距離間」と「マークの受け渡し」

水戸が失点を少なく抑えらえている理由は、守備時の選手同士の距離間にあると言っていい。具体的には、ボールを奪いに行く選手と、それをカバーする選手の距離を指す。相手が攻めてきた際、相手に一番近い選手がボールに寄せていく。この際に、ボールにプレスに行った選手の隣にいる味方の選手は、カバーできる位置に少しポジショニングさせてスライドする。この場合、味方選手の2人の距離が近すぎても機能しないし、遠すぎても生かされない。つまり、自分のスペースを埋めつつ、味方の選手もカバーできる距離を保たなければならない。

さらにゾーンディフェンスを採用する水戸は、「マークの受け渡し」が注目される。守備時は、守っているポジションとマッチアップする相手選手をマークすることになる。マークしている相手選手が、自分の守るエリアから離れて、隣にいる味方選手のエリアに侵入したとする。この際に、相手選手に着いていくと、自分のエリアを空けることになってしまう。そのためゾーンディフェンスでは、相手選手が隣にいる味方選手のエリアに侵入したら、その味方選手にマークを引き継いでもらう。

ここで大事なことは、スムーズに受け渡すことである。マークをスムーズに受け渡すためには、チーム全体での協力態勢がなければならない。つまり、味方の選手同士のコンビネーションが不可欠になってくる。いまの水戸は「選手同士の距離間」と「マークの受け渡し」に優れている。そして伊藤槙人は、その守備の要となっている。

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