川本梅花 フットボールタクティクス

【試合分析】#林陵平 はいかにして抑えられたのか?【無料記事】J2第7節 #東京ヴェルディ 0△0 #水戸ホーリーホック #mitohollyhock #verdy

水戸守備陣は、好調の林陵平をどのように抑えたか?

本文目次
水戸守備陣に課せられた3つのタスク
5メートルの縦の距離間を保った組織的ブロック

2019明治安田生命J2リーグ第7節
東京ヴェルディ 0△0 水戸ホーリーホック
http://www.mito-hollyhock.net/games/13268/

4月3日の水曜日、明治安田生命J2リーグ第7節、東京ヴェルディ対水戸ホーリーホック戦が行われた。

ホームの東京Vは、今季からギャリー ジョン ホワイト監督が新たに指揮を執る。水戸は、就任2年目の長谷部茂利が監督を務める。東京Vのフォーメーションは「4-4-2」でFWが縦並びになって攻撃し、守備の際は横並びになる。一方の水戸も「4-4-2」の中盤はボックス型を採用する。FWの黒川淳史は攻撃時に自由にポジションを取る。守備時のFWは横並びでプレスを掛ける。両チームのシステムを組み合わせた図は、以下の通りとなる。

水戸守備陣に課せられた3つのタスク

水戸にとって試合の課題は、東京ヴェルディFW林陵平を「いかに抑えるか」だ。今季の林はJ2第6節終了時点で4得点と、好調をキープしている。東京Vの得点源・林をいかに抑えるか。これが試合のポイントになる。林を抑えるため、水戸の守備陣に課せられたタスクは、以下の3点だ。

(1)ペナルティエリア内で林陵平にシュートを打たせない。

(2)バイタルエリア内で林陵平にボールを入れさせない。

(3)プレースキックの際、ペナルティエリア内での林陵平のケアを徹底する。

このタスクが、どれだけ遂行されたかを確認していく。

(1)林のシュート数はゼロに終わった。

(2)76分、右サイド後方からバイタルエリア中央にいた林へロングボールが送られる。この時は、水戸DF伊藤槙人が林に密着してケアする。林は、伊藤の寄せを嫌って我慢できず、先に身体をズラして裏に抜けようとしたためにオフサイドになる。

この時、最終ラインにいた岸田翔平、ボニー(ンドカ ボニフェイス)、志知孝明が伊藤の動きに合わせてラインを少し上げている。東京Vの後方の選手、あるいは中盤の選手が前を向いてボールを林に入れようとする瞬間、伊藤が林に身体を寄せてプレッシャーを掛ける。このため、林にはきちんとしたボールが入らなかった。

(3)東京VのCKは2本あったが、どちらも問題なく終わっている。林へのマーク以前に、林に満足なポジショニングをさせていない。

東京Vのシュート数は合計でも3本。危険な場面は、オフサイドによりゴールが取り消されたシーン(51分)だけと、水戸守備陣はタスクを完遂したことになる。

この試合のポイント

東京Vの攻撃のキーマン・林陵平に全く仕事をさせなかった

5メートルの縦の距離間を保った組織的ブロック

センターバック(CB)とセンターハーフ(CH)がブロックを作って守る時の理想的な縦の距離間は5メートル程度だと言われる。この距離を保って、その中にFWを閉じ込めて守備側が舵(かじ)を取れれば攻撃を最小限にとどめられる。この日の水戸は、きれいな距離間を保って守り続けた。

林はバイタルに閉じ込められるのを嫌って、味方のCHラインまで降りてきてボールをもらいにきていた。しかし、中盤での水戸のプレスが激しく、林に渡ったボールは再び味方のCBに戻されるだけになる。つまり、ビルドアップが単発になってボールは繋(つな)げるが効果的なボール回しができない。こうした状況を作ったのは、水戸の選手全員による完璧な連係であり、それだけトレーニングで鍛錬されている証拠でもある。

水戸の縦と横の距離間を保った強固で組織的なブロックを破ることは、ほかのチームにとっても決してたやすくはない。

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