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川本梅花 フットボールタクティクス

【試合分析】終盤に逆転を許すも、ボールを繋ぐメリットを示すJ3第7節 #ヴァンラーレ八戸(@vanraure)2●3 #福島ユナイテッドFC #fufc

結果的に逆転を許すも、ポジティブな内容を示す

2019明治安田生命J3リーグ第7節
ヴァンラーレ八戸 2●3 福島ユナイテッドFC
https://www.jleague.jp/match/j3/2019/042816/live/

4月28日の日曜日、明治安田生命J3リーグ第7節、ヴァンラーレ八戸対福島ユナイテッドFCがダイハツスタジアムで行われた。ホームの八戸は、大石篤人監督が指揮。福島は、今季より松田岳夫氏を監督に迎えている。八戸は、センターハーフ(CH)を3枚にした「3-3-3-1」を採用。福島は、アンカーを1人置いた「4-1-4-1」を敷く。両チームのシステムを組み合わせた図は、以下の通りだ。

ボールを繋いで数的優位とリズムをつかみ取る

大石監督が目指すサッカーは、ボールを繋(つな)ぐことをテーマにしている。ボールを繋ぐことのメリットは、次の2点が挙げられる。

(1)数的優位を作れる。
(2)試合のリズムに変化を生み出せる。

この試合では、上形洋介のゴールが、ボールを繋ぐメリットによって生まれたものだった。

33分くらいから、八戸のパスが回り出す。八戸DF佐藤和樹がクロスを上げ、相手にボールが渡るまで、連続して30回のパスが、八戸の選手のみで交換される。トライアングルを作った短いパスから、サイドを変える大きなパスまで。こうしたパス交換により、八戸が試合の主導権を握るようになる。

43分、上形のゴールを生み出す前にも、連続して18本のパス交換が行われた。相手の足は完全に止まり、八戸の選手へのマークもズレ出す。DF佐藤がMF三田尚希に縦パスを入れる。三田はボールを受けると、ターンをして正面を向く。福島のセンターバック(CB)寺前光太が三田へプレスに行くため、前に出る。上杉は、寺前の動きを想定し、彼の背後に走り込む。三田は、上形の走る先にボールを送る。上形は左足で蹴ろうとしていたが、転がるボールの軌道を見て、右足のつま先を使ってゴールに流し込んだ。

以下の図がその状況を示している。

システムにおいても、八戸には工夫が見られた。八戸は「3-3-3-1」と「3-4-2-1」の2パターンを用意し、相手によってシステムを使い分けている。

福島戦では、アンカーの橋本拓門をフリーにさせないため、八戸MF貫名航世を「3-3-“3”-1」の“3”の真ん中のポジションに置き、橋本のケアに務めさせる。その結果、福島は橋本を経由したビルドアップを崩され、攻撃のリズムを作ることに苦慮した。さらに八戸は、試合の途中に「3-4-2-1」へ戻し、ボールを繋ぐことでリズムと数的優位を手に入れる。しかし、何度かあった決定的なチャンスをものにできないまま、ラスト10分を迎える。

ラスト10分、八戸はリスクを冒した攻撃を仕掛けるが、これが裏目となり、81分に失点。勝ち点を失うこととなる。しかし、ホームで勝利を収めるという目的を果たすため、リスクを冒した結果だった。そういう意味で、筆者は「仕方がなかった」と考えている。むしろ勝つためにチャレンジできたことはポジティブなことであり、次につかむ勝利のための敗戦だったと思っている。

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