2024.01.11

チームMURAIが振り返る「Jリーグとコロナの戦い」　『異端のチェアマン』出版記念イベントより＜1/3＞

2024年01月11日 12時00分　
カテゴリ：インタビュー・対談
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　今週は、昨年12月7日にLOFT Shibuya９で開催された『異端のチェアマン』出版記念イベントから「チームMURAI」の座談会を再構成してお届けする。

　チームMURAIとは、村井満前Jリーグチェアマンの３期目から４期目（2018～22年）で理事だったメンバー（原博実副理事長、木村正明専務理事、米田惠美理事、佐伯夕利子理事＝いずれも当時）を指す。このイベントでは、村井さん、原さん、そして佐伯さんが登壇。コロナ禍でJリーグが存亡の危機に立たされた、2020年当時のことを振り返っていただいた。

『異端のチェアマン』において、Jリーグとコロナとの戦いは、まさにクライマックス。この時代について村井さんはもちろん、原さんや佐伯さんにもじっくり取材させていたので、ほぼ把握しているつもりでいた。ところが三者で語り合うと、また新たな事実が浮かび上がるのが興味深い。よって、本書をすでにお読みになった方にも、十分に楽しめる内容となっている。

　もうひとつ、この日のイベントを開催して痛感したのが「リアルで集まることの大切さ」。コロナ禍の影響で、サッカー仲間が集まる機会が激減していたが、今年はこうした機会をなるべく多く作っていきたい。まずはFUJIFILM SUPER CUP 2024前夜には、4年ぶりとなるマスコットイベントを準備している。開催詳細については間もなくリリースするので、楽しみにお待ちいただきたい。

■コロナ禍直前にビジャレアルで直談判した原博実

村井　原さん、佐伯さん、お久しぶりです。残念ながら木村さんは参加できませんでしたが、先ほどの動画メッセージを見ると、相変わらずな感じで安心しました。相変わらずといえば原さん、Jリーグ副理事長を退任されてから1カ月と経たずに、大宮アルディージャのフットボール本部長に就任されましたよね。ネットのニュースを見て、ちょっと驚きました（笑）。

原　切り替えが速いんでね。大宮からオファーをいただいた時、あまり深く考えないで「明日から行きます！」って答えていました（笑）。全責任を負って立て直さなきゃいけないという覚悟がありながらも、同時に「やっぱり現場はいいよなあ」と思いましたね。

村井　僕はよく「天日干し」という言葉を使いますが、原さんは生まれ落ちてからの「天日干し」ですよね（笑）。このチームMURAIですが、最初に加わったのが原さんで2016年。そして最後に理事になったのが佐伯さんで2020年でした。それまでは、議決権のない特任理事だったんですが、確か原さんから紹介していただいたんですよね？

原　そうですね。僕がスペインに出張した時には、いろいろお世話になっていたんです。現地での視察に同行してもらった時、ヨーロッパの現状をよくご存じだったので「こういう人がJリーグにいるといいなあ」と思って。それで僕から電話したんですよね。

村井　佐伯さんは、スペインで暮らすようになって何年になるの？

佐伯　すでに31年が経ちます。そもそも生まれも海外ですし、育ったのも海外なので、日本に住んだ期間は合わせて14年しかないんですよ。私の母からは「あんたは日本の組織ではやっていけない」ってずっと言われて（苦笑）。ですから、戦々恐々とした感じで、理事をお引き受けしたという感じでしたね。

原　佐伯さんを迎えるにあたって、僕は「佐伯さんを2年間貸してください」って、ビジャレアルの上司に説得しに行ったんですよ。空港まで佐伯さんに迎えに来てもらって。

村井　そうそう。僕が「原さん、行ってきてください」って、お願いしたんだよね。

原　いちおう周囲には内緒で。確かFC東京のACLの試合が味スタであって、すぐにスペインまで飛んだんだよね。

村井　原さんが突然、ビジャレアルまでやって来ることになって、佐伯さんもびっくりしたんじゃない？

佐伯　滞在が24時間以内という中で、原さんがわざわざビジャレアルまで来てくれたのは、ウチのCEOに「2年後に戻ってきても無職にならないように」というメッセージを伝えるためだったと思っています。ちなみにスペインの労働法では「留職制度」というものがありまして、それを適用させていただく形で正式に2年間、Jリーグに移籍できました。CEOからも「何も問題ないから、チャレンジしておいで」と背中を押してもらえましたね。

村井　佐伯さんが加わったことで、最後のピースである「グローバル」が埋まったと思っていたら、コロナで大変なことになってしまったんですよね。

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