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サポ目線で考える村井チェアマンの8年間 武藤文雄 ✕ UG ✕ ささゆか座談会<2/2>

サポ目線で考える村井チェアマンの8年間 武藤文雄 ✕ UG ✕ ささゆか座談会<1/2>

<2/2>目次

*「ずっと気になっていた『チェアマン』という呼称」(ささゆか)

*「イングランド人にとっての応援は日本人にとっての餅」(UG

*「地方都市の新しいクラブが上を目指せないとしたら」(武藤

「ずっと気になっていた『チェアマン』という呼称」(ささゆか)

──ここからは、いったん村井さん個人から離れて「次期チェアマンに求められる条件」について考えてみたいと思います。次期チェアマンについては、報道でも具体的な名前がたびたび出てきますが、村井さんが後継者を決められるわけではないんですよね。こちらの記事にも書きましたが、第三者委員会に完全に委ねられて、厳格な審査のもとに次期チェアマンが決定することになっています。

 果たして、次期チェアマンに求められる条件とは何でしょうか? サッカーに対する知識と愛情、経営者としての手腕、メディア映えや発信力、グローバルな視点、そしてファン・サポーターとの向き合い方。いろいろあると思うんですけれど、ぜひともサポーター目線でのご意見をいただければと思います

ささゆか ツエーゲン金沢のハーフタイムで「ヤサガラスショー」ってあるじゃないですか。悪役マスコットの傍若無人ぶりに「やめるんだ、ヤサガラス!」という声がして、振り返ると大型スクリーンに村井さんが登場するという(笑)。「チェアマンって、そこまでやるんだ」って、みんな驚きました。

 このショーの出演で「チェアマン、実はいい人だよね」と思っていたんです。ただし、村井さんの場合「見せ方の上手さ」が強くて、最後まで本心が見えないところがありました。時おり、マッチョイズムのようなものも垣間見えてしまって、そこのギャップに根深さを感じてしまったこともあります。

──気になる指摘ですね。たとえば?

ささゆか ずっと気になっていたのが「チェアマン」という呼称。なぜ「チェアパーソン」ではないんだろう? WEリーグ設立時の「チェア」呼称が決まった際、それでも変えなかったのは、逆に強い意志を感じました。呼び方ひとつではありますが、女性がJリーグのトップに立つことが想定されていない組織が「女性客を取り込みたい」と奮起している、この状況は不自然です。「マチズモを意識して変えられる」というのは大事だと強く感じていますので、次にチェアマンとなる方に期待します。

──ささゆかさんが挙げた条件は、男性だけだとなかなか出てこないものですよね。武藤さんは、チェアマンに求められる条件をどう考えますか?

武藤 企業のトップにはCEOCOOがあるんですけど、村井さんの場合は後者、つまり典型的な最高執行責任者だと思います。何をすべきかが決まっていれば、それに対して非常に高い能力を発揮することができる。ただし「Jリーグはどういう方向を目指していくのか」ということに関しては、あまり指し示すことはできなかったと、僕は思っています。

 プレミアとかブンデスリーガとか、ヨーロッパの5大リーグが完全に突出している状況がある中、そこをJリーグが目指すのかといっても、経済力や歴史を考えたら難しい。じゃあ、われわれが目指すのは、ベルギーやオランダやポルトガルなのか? はたまたMLSやメキシコなのか? それともアジア限定で突出した存在であればいいのか? そういった、目指すものについてのアナウンスがまったく聞かれないんですよね。

──ヨーロッパとの距離感については、村井さんはけっこう意識されていたと思います。それでも次期チェアマンには、目指すべき方向性について、より明確にしてほしいところですよね。UGさんはいかがでしょうか?

UG たとえばサポーターが何かやらかして、クラブが罰せられる時に「村井案件」って言われるじゃないですか。でも、村井さん以前には「大東案件」とか「鬼武案件」とかなかったわけですよ。下手くそな審判と一緒で、最初あまりにも重すぎるレッドカードを出してしまったので、その後もずっと厳しい笛を吹かざるを得なかったのかなという気はしています。次のチェアマンは、そこのところをうまくやってほしいですね。

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