新しい専スタが「しれっと」金沢にできた理由 金沢ゴーゴーカレースタジアム誕生秘話<2/2>
■西部緑地から新スタジアムにスムーズに移行できる理由
「来年にオープンする新スタジアムの年間シートの価格。この間、発表されていたけれど、ちょっと強気の価格設定ではないか?」
9月2日、西部緑地公園陸上競技場で開催された、ツエーゲン金沢vs東京ヴェルディの一戦。ハーフタイムに行われる「ヤサガラス劇場」で、公式マスコットのゲンゾーにヤサガラスは、そう問いかけていた。コントのネタにしつつも、新スタジアムのオープンは、マスコットたちにとっても楽しみしかないようだ。
ヤサガラスとゲンゾーが茶番を繰り広げる中、ピッチ上ではスプリンクラーによる散水が行われていた。よく見ると、係員がスプリンクラーの角度を変えながら、まんべんなく水が行き渡るようにしている。ここのスプリンクラーは水圧が低く、自動的に回転しないという話を聞いていた。改修作業の際、なぜか改善されなかったようだ。
西部緑地は県営であり、改修工事の費用も当然ながら県持ちであったが、陸上競技場の改修は最小限にとどまったと聞く。最も費用がかかったのは大型ビジョンだが、これも「金沢マラソンのゴール地点として見栄えを良くするためだった」と、ある関係者が教えてくれた。
「西部緑地については、県に無理をお願いして、芝生や電光掲示板を代えていただきました。8億から10億の設備投資だったはずです。そうした中、今度は(金沢)市が作るスタジアムに移転するというのは、なかなか言い出しにくい状況もあったと思います」
そう語るのは、クラブ社長の米沢。それでも、ツエーゲン金沢のホーム移転の話が、思いのほかスムーズに進んだのには理由があった。
「実は西部緑地も来年から大規模な改修工事に入るんですよ。市が新しいスタジアムを作って、ツエーゲンがそこで試合をしてくれるのは、県としても実はありがたい話だったんですよね。西部緑地を離れても、引き続き支援してくれるという話にもなっています」
さらに米沢は、こう続ける。
「県と市の仲が悪いというのは、地方ではよくある話ですが、ちょうど同じタイミングで知事と市長が代わった。しかも今の知事は、スポーツに理解があります」
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