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「Jリーグのお荷物」にならないために何をすべきか? 雪国クラブ社長が今、考えていること(山形篇)<3/3>

「Jリーグのお荷物」にならないために何をすべきか? 雪国クラブ社長が今、考えていること(山形篇)<2/3>

MLSの降雪地帯のクラブはどのような雪対策をしているのか?

──今年の4月に、山形の新スタジアムに関する記事を読みました(参照)。その後の報道では「屋根をドーム型」にとか、「2025年は無理だけど27年に間に合えば」とか、いろいろ具体的な話も出ていますが、現状はどの程度進んでいるんでしょうか。

相田 最終的な調整事があって、そのあたりがクリアになれば一気に進んでいくと思います。もうひとつ課題を挙げるならば、資材価格の高騰。コロナの影響で、建材の費用が30%くらい上がることが見込まれています。100億かかるものが130億になるとしたら、かなりの出費ですよね。加えて、本当にドーム型にするとしたら、屋根だけで下手すると70億くらいかかるんです。

──それは相当な出費ですね。ちなみに建設予定地は天童市ですか?

相田 そうです。今のスタジアムの道路を挟んだ隣に、特別駐車場という6,000台分の駐車場があるんですけど、そのうち2,000台分ぐらいを使わせていただくことになっています。完成すれば、クラブハウスの本当に近くになるのでつながる様な形になるんですよ。

──なるほど、一気にイメージが具体化しますね。スタジアム建設に関して、海外の事例を視察されたりしています?

相田 今年の3月末、アメリカの降雪地帯のスタジアムを回ってきました。ニューヨーク、デンバー、ミネアポリスと3カ所を回ったんですが、MLS2月の中旬から下旬には開幕するんですね。その時期、ミネアポリスでは2メートル近く雪が積もるそうです。

──ミネアポリスといえば、ミネソタ・ユナイテッドFCのホームタウンですよね。向こうでは、どう対応しているんでしょうか?

相田 まず、ブレードの付いたトラクターで雪を側溝に入れて、水の状態にして流すそうです。それとピッチの60センチ下のところにお湯が流れていて、地表を一定温度に保っているそうです。いちおう4方向に屋根は付いているんですが、ドーム型にはなっていない。なぜ屋根で覆わないのか聞いていたら、逆に「そんなの付けてどうする? お金がかかるだけじゃないか」って言われて(笑)。

──観客の寒さ対策については、どうでしたか?

相田 地元の人たちは慣れっこになっている印象でした。向こうだと11月から5月くらいまで雪が降るらしいんですよ。僕らが訪れた時も少し積もっていたんですけど、地元の人が「今週末のホームゲームは、すごく積もるみたいよ」なんてニコニコしながら言っているんですよ。雪の降る中、スキーウェアを着て応援している写真を見せてもらいました。向こうでは、そういう観戦環境が当たり前なんでしょうね。

──なるほど、ミネアポリスでは雪とサッカー観戦がセットになっているわけですね。さすがにそれを日本に当てはめるのも、無理がありますよね。

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