宇都宮徹壱ウェブマガジン

「Jリーグのお荷物」にならないために何をすべきか? 雪国クラブ社長が今、考えていること(山形篇)<2/3>

「Jリーグのお荷物」にならないために何をすべきか? 雪国クラブ社長が今、考えていること(山形篇)<1/3>

エデュケーショナルデーとU-23マーケティング部の写真はモンテディオ山形様からご提供いただきました。

平日昼開催「エデュケーショナルデー」の意外なルーツ

──山形が若者をうまく巻き込むというところで、ここから「エデュケーショナルデー」と「U-23マーケティング部」の話に移りたいと思います。まず517日のエデュケーショナルデーですが、そもそもこの平日昼開催のアイデアってどこから出てきたんでしょうか?

相田 クラブとしての思惑はいくつかあったんですが、日程の候補が出た時に「夜開催だと、まだ寒いかな」というのが、まずありました。あとは平日のナイトゲームって、あまりお客さんがいらっしゃらない。「売上も利益もなかなか上がらない」という話は、実は去年から皆でしていたんです。

──山形だと5月のナイトゲームでも寒いですか?

相田 寒い日は寒いです。今回、日中に開催したら予想外の暑さだったんですが(笑)。でも、あえて平日昼の開催にすることで、なかなか会えないお客様に来ていただけるチャンスを作れるんじゃないかと。

──実際、6432人も集まりました。平日昼開催で、これだけ集められるというのは、けっこうすごいんじゃないですか?

相田 本当は8000人を目指していたので、そこは僕らの至らない部分でもあったと思います。

 もっと地域のお年寄りとお子さんをたくさん集めて、同じ空間を共有することで何かを生み出す試みはできたんじゃないかと思っています。たとえ同じ赤字であっても、違った何かを得ようというのが発想の原点だったんですね。

──素晴らしい逆転の発想だと思うんですけれども、どなたのアイデアだったんでしょうか?

相田 言い出しっぺは僕でした(笑)。実は楽天イーグルスにいた時、10年くらい前に平日のデーゲームをやっていたんですが、その時も「春のナイターは寒いから」というのがきっかけでした。それに加えて今回は、いつも会えない方々に来ていただき、何かを残すというチャレンジでした。

──それが最初の発想の源で、そこから課外授業として学校を巻き込むというアイデアに発展していったということでしょうか?

相田 そうです。今回はワンダーファイという知育系のアプリを作っている会社との取組みだったのですが、先方の社長さんから「アプリでやっていることをリアルで表現できるコンテンツを持っている」というお話を、打ち合わせの際に聞いたのがきっかけでした。

 実はこれもイーグルス時代の経験なんですが、MLBのミネソタ・ツインズを視察した時に、平日のデーゲームをやっていて、黄色いスクールバスがたくさん来ていたんです。スタンドに子供たちをたくさん入れて、大型ビジョンを見ながらみんなで勉強して、それから野球を楽しむということをやっていたんですね。

──なるほど、発想のルーツはMLBにあったんですね?

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