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「Jリーグのお荷物」にならないために何をすべきか? 雪国クラブ社長が今、考えていること(山形篇)<1/3>

 今週はモンテディオ山形の社長、相田健太郎さんにご登場いただく。

 相田社長は1974年生まれの49歳。大学卒業後、水戸ホーリーホック、楽天イーグルス、さらにヴィッセル神戸などで営業や強化などを担当し、201812月から現職。相田社長には、就任の翌年に取材させていただく機会があり(参照)4年ぶりのインタビューとなった。

 今季の山形といえば、開幕2連勝のあとに8連敗を喫し、その間にピーター・クラモフスキー監督の解任を決断している。代わって渡邉晋コーチが監督に昇格し、5月から6月にかけて5連勝と持ち直すものの、現在は12位と厳しい戦いが続くことに変わりはない。

 一方でオフ・ザ・ピッチに目を転じれば、ドーム型のスタジアム構想をぶち上げたり、あえて平日昼にリーグ戦を開催する「エデュケーショナルデー」が話題になったり、いろいろユニークな動きを見せているのも山形。その中心にいるのが、相田社長である。ちなみに山形の社長に就任以降、クラブに起こったさまざまな変革(クラブハウスの建設やエンブレムの変更など)もまた、この人の主導によるものだった。

 そんな相田社長に、ぜひとも聞いてみたかったのが、今年になって議論が白熱している「シーズン移行問題」について。東北で日本海側の山形は、言うまでもなく雪国クラブの筆頭。この問題に「断固反対」のファン・サポーターは多い。しかし相田社長は、意外とポジティブなスタンスを採っているとも聞く。その理由は何か? この機会に確認しておこうと思った次第だ。

 当WMでは「シーズン移行問題」について、可能な限りのJクラブ、それも雪国クラブの社長に話を聞こうと考えている。今回はその第一弾となるわけだが、それぞれのクラブが地道に取り組んでいるミッションについても、併せて拾い上げていこうと思う。そんなわけでさっそく、相田社長の話に耳を傾けることにしたい。(取材日:2023615日、オンラインにて実施)

クラモフスキー監督解任のタイミングは「あそこしかなかった」

──今日はよろしくお願いします。201812月にモンテディオ山形の社長に就任されて、今年で5年目ということですが、あっという間でしたか?

相田 本当にあっという間ですね。実は自宅が仙台なので、通っているんです。ほとんどの日、あの峠を越えてきているんですけど、それを5年間続けてきたと思うと感慨深いですね。

──車ですか?

相田 車です。1時間もかからないぐらいですね。考え事をするにはちょうどいいですし、事務所ではちょっと話せない電話も車の中でできますし、僕にとっては大事な時間ですね。

──さっそくですが、まずはオン・ザ・ピッチの話から伺いたいと思います。昨シーズンは相田さんが社長に就任して、2回目のJ1参入プレーオフに進出しました。結果は残念でしたけれど、手応えが感じられる試合だったと思います。そうした中、今季に入ってピーター・クラモフスキー監督との契約を解除することとなりました。4月の段階での決断でしたが、そうとう悩んでの結論だったのでしょうか?

相田 そうですね。2年前のシーズン途中から着任していただいたんですが、ピーターが志向する縦に速いフットボールというのは、すごくシンプルで明確でした。ただ、僕時間が経つれて少し気になっていたことありました。

 ちょっと一本調子になってしまう事が気になったり、もう少し選手競争をあおるような起用をしないのかなと思ったり僕はピーターが「非常にロマンティストなんじゃないのかなぁ思っていました。それ自体、まったく否定するものではないかもしれないですJ2を戦う上ではもう少しリアリストであるほうが良いのかもしれないと思っているところもあります

──それでも開幕は連勝スタートでした。 

相田 そうなんです、第3節から連敗が続くようになってしまってから、修正ができなくなっているような感じになっている、傍から見ていて気にはなっていました。たまにトレーニングを見に行くと、選手の表情が心から明るくなかったのも気になりました。

──相田さんが決断されたのが、第7節の水戸ホーリーホック戦で敗れた時でした。ここまでで5連敗。さらに渡邉晋監督に代わっても、いわゆる解任ブーストとはならずに、さらに3連敗してしまいます。第11節の東京ヴェルディ戦に勝利するまで、かなり苦しかったでしょうか?

相田 何となく「第10節までは我慢」というのはありました。ピーター解任を決断したのが第7節。そこから3試合は調整期間と割り切って、それ以降は課題が整理されていくだろうと思っていました。また、その3試合はミッドウィークが入っていたので、実質1週間だったんです。ですから「そんなものだろう」と。ただ、監督交代のタイミングは、最終的にあそこしかなかったと思っています。

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