六本木OLが世界のレースで走り続ける理由とは? 鈴木ゆうり(#海外マラソンコレクター)<1/2>
今週はサッカーの話題から離れて、久々に他競技にフォーカスすることにしたい。これまでにも野球やラグビーなどを取り上げてきたが、今回はマラソン。ご登場いただくのは、海外マラソンコレクターの鈴木ゆうりさんである。
1994年生まれのゆうりさんは、大学在学中から海外でのマラソンをスタート。卒業後は1年のうち半分を「六本木OL」として働き、残り半分を海外でのマラソンに出場するというライフスタイルを送ってきた。これまで38カ国、48レースに出場。そのような偉業を20代で達成してしまうところに、彼女の非凡さが見て取れよう。
そんな彼女だが、昔から陸上女子だったわけではない。むしろ成人するまで運動が大嫌い。走るきっかけも「ダイエット」だったという。しかも初マラソンは、たまたま旅行で訪れたハワイで、ぶっつけ本番で挑んだホノルルマラソン。まったくの素人が、いきなり42.195キロを完走したというのだから恐れ入る。ここから彼女の「海外マラソンコレクター」としてのキャリアがスタートした。
ゆうりさんの破天荒なマラソン人生は、それ自体が魅力的な物語ではある。しかし本稿の目的は、それをヴィヴィッドにお伝えするだけにとどまらない。実は昨年4月、彼女の活動が書籍化されることが決まっていた(参照)。ところが、それから8カ月後の12月、この話が突如として白紙となってしまう(参照)。一連の経緯を大変残念に思い、ゆうりさんにインタビューのオファーをさせていただいた。
当WMの会員の中には、出版業界にお勤めの方や編集者の方もいらっしゃることだろう。一度は潰えてしまった出版企画が、別の版元で蘇ってほしいという願いを込めて、本稿をお届けする次第。また、ゆうりさんの活動に共感を覚えた方は「#海外マラソンコレクター」を添えて、SNSに感想などを書き込んでいただければ幸いである。(取材日:2023年1月18日@東京)
<1/2>目次
*38カ国、48レースに出場! 未踏の大陸は意外にも
*初マラソンはホノルル! 買い物ついでにエントリー
*海外でのマラソンが「コスパのいい趣味」である理由
※写真はすべて鈴木ゆうりさん提供
■38カ国、48レースに出場! 未踏の大陸は意外にも
──今日はよろしくお願いします。つい先日、ベトナムのホーチミンマラソンから帰ってきたばかりですよね?
鈴木 そうですね。ちょうどさっき主催者から「20代女性の中で一番だった」というメールをいただいたんです。でも、12人がエントリーしていたんですけれど、そのうち何人が本当に出走したのか、ちょっと怪しいんですよね(笑)。全体だと200人以上はいたんじゃないかな?
──ハーフとかでなく、フルマラソンですか?
鈴木 そうです。基本はフルしか走らないです。なければハーフを走りますけど。これまで38カ国、48レースに参加してきましたが、すべての国がフルマラソンのコースを確保できるわけではないんですよ。今回のホーチミンもハーフの距離しか確保できなくて、同じコースを2周するレースでした。
──コースを確保できるかどうかというのは、その国の道路事情で決まるんでしょうか?
鈴木 そうですね。あとは治安とか資金力とか。モロッコのタンジェマラソンに出場しようとしたら、レースの2日前にいきなりキャンセルになったことがありました。理由は、フルマラソンのエントリー人数と警備のコストは割に合わないから。
──到着したら、いきなりキャンセルですか!
鈴木 そうなんですよ。結局、フルに出る予定だった人は、ハーフに無料で振り替えることになったんですけど、めっちゃ萎えましたね。
──レースに参加できるかどうか、行ってみなければわからない、という感じなんでしょうか?
鈴木 割とありますね。それこそ開催日の変更とかもあるので。クロアチアのザグレブでは、交通事情の影響だと思うんですが「1日前倒しの午後にするから、その日の午前中までにビブスを取りに来てね」なんてメールが届きました。日本のレースくらいですよ、ちゃんと予定どおりに開催されるのは。まるで別の競技みたいな感じ。
──なるほど。これまで38カ国、48レースということですが、全大陸を制覇したことになるんでしょうか?
鈴木 と思いきや、オーストラリアと南極は行ってないですね。
──さすがに南極はないでしょう(笑)?
鈴木 南極マラソンって、あるんですよ。北極マラソンもあります。ただし200万円くらいかかるみたいです(笑)。
──すごい! 南極や北極にサッカーはないけれど、マラソンはあるんだ(笑)。それにしても、アマゾンとかルワンダでも走っているような人が、なぜオーストラリアは未踏なんですか?
鈴木 新婚旅行にとっておいてあるんです。グレート・バリア・リーフで「こんな綺麗な景色、初めて見た!」みたいなことを言ってみたくて(笑)。
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