宇都宮徹壱ウェブマガジン

唐突に語られ始めた「ジャパンズ・ウェイ」 極端な「日本らしさ」への傾倒に感じる危うさ

 本題に入る前に、まずは今週金曜日(8月3日)にKITEN!で開催されるWMイベントについて、この場を借りて最後の告知をしておきたい。ワールドカップ取材から戻り、少しお休みをいただいてから当WMでは、先週と今週の2週にわたって今大会をさまざまな角度から振り返っている。金曜日のイベントは、その「大トリ」という位置付けである。

 メインゲストの鈴木英寿さんは、FIFA.comで唯一の日本人エディター兼ライター。大会後、さまざまな総括イベントが行われているが、「FIFA」という視点から今大会を振り返るのは国内では当イベントのみであろう。そして特別ゲストは樋渡類さんと、ちょんまげ隊長ツンさん。樋渡さんには日本でTV観戦しながら感じた疑問を、ツンさんには現地観戦での発見を、それぞれ語っていただきながらトークを膨らませていく。イベント終了後に行われる二次会のみの参加も可能なので、仕事帰りに一献傾けながらの交流を深めたい方も大歓迎。ご希望の方は、ぜひこちらからご予約いただきたい。

 さて、先週の日本サッカー界でのトピックスと言えば、やはり日本代表の新監督に、森保一五輪代表監督の兼任が決まったことが一番であろう。この件について私は、会見の翌日にスポナビでこのようなコラムを書いている。

 森保新監督については、今は「とにかく頑張ってほしい」という気持ちしかない。しかし、そのこととは別に、どうにも拭えぬ疑念も残る。それは(コラムにも書いたことだが)、会見で田嶋幸三JFA会長が繰り返し語っていた「ジャパンズ・ウェイ」というフレーズ。田嶋会長は「(JFAとして)2006年から提唱していた」と語っていたが、本当だろうか? そのことがずっと引っかかっていた。

 会見が行われた7月26日以前の段階で、ネットで「ジャパンズ・ウェイ」を検索すると、まず出てくるのがこの記事。グループステージ第2戦で、セネガルに2-2で引き分けた日本代表について、田嶋長が「こういう戦い方をすれば、日本の体格でも世界と渡り合える」として、JFAが掲げてきた「ジャパンズ・ウェイ」に自信を深めた、という内容である。

 何だかものすごく「後付け感」を感じるのは、私だけでないと思う。とはいえ、実際にはJFAの公式サイトでも「ジャパンズ・ウェイ」のくだりを確認することはできる(参照)。ならばそれは、本当に12年前から提唱されたものなのだろうか? ここからは、その謎解きを試みることにしたい。

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