宇都宮徹壱ウェブマガジン

オマーン戦から遠く離れて 久々に代表戦をTV観戦して感じたこと

 実に5年ぶりのTV観戦だった。

 11月11日にカシマスタジアムで行われた、日本代表とオマーン代表による国際親善試合。こちらでも書いたとおり、今回は地域CL(全国地域サッカーチャンピオンズリーグ)の取材とバッティングしたため、FC今治の取材を優先することにした。最後に代表戦をTV観戦したのは、11年11月15日のワールドカップ3次予選、アウエーの対北朝鮮戦(0-1)以来のことだ。

 もっとも5年前の北朝鮮戦は、政治的な理由で入国許可が下りないという、こちらではいかんともし難い理由によるものであった。以来、代表戦に関してはずっと皆勤賞。その間、父親が病床にあったこともあり、後ろ髪を引かれながら海外取材に赴いたことも何度かあった(その父も昨年4月に亡くなった)。代表の現場にいるのが当たり前だった自分にとり、久々に代表戦を「引いた視点」で観戦したことは、いろいろと思わぬ発見があった。

 投宿先のホテルにてTVを点ける。オマーン戦を放映したのはCX(フジテレビ)。今回はワールドカップ予選ではなかったので、NHKのBSでのオンエアはない(地上波の民放で、最後に代表戦を見たのがいつだったか、ちょっと記憶にない)。キックオフは19時20分で、中継のスタートは19時から。いつもだったら記者席に座って、間もなく始まる試合についてイメージを膨らませている頃である。だが、今日はTVの前のいち視聴者。まずはNHKのニュースをチェックして、それから各局をザッピングする。この日は野球でも国際親善試合があった(侍ジャパン対メキシコ)。野球ファンなら、無条件でこっちを視るのだろう。

 キックオフ5分前。ようやくCXにチャンネルを合わせる。実況は西岡孝洋アナウンサー、解説は元日本代表の山口素弘氏。民放特有の過剰な情報投下はさほど感じられず、視聴者が知りたいと思う情報を過不足なく伝えているという印象だ。日本のスタメンは、本田圭佑、吉田麻也、西川周作といったメインの顔ぶれを残しつつ、大迫勇也、齋藤学、永木亮太、丸山祐市といった新しいメンバーを積極的に起用。サウジアラビア戦に向けた、新戦力の見極めの場というオマーン戦の位置付けは明確であった。そして試合内容は、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督に一定以上の満足感を与えるものとなった。

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